平成28年5月19日 薬剤師会の勉強会
メンタルヘルスにおける漢方と栄養学 山口病院精神科部長 奥平智之先生
■精神疾患に影響する栄養学的因子
■検査値が基準値内であっても分子栄養学的には色々な情報が含まれている。
*鉄欠乏症
貧血で無い場合も多く見られる。
フェリチンの値にも注目(貯蔵鉄)!
鉄は神経伝達物質の合成にかかわっている。
その為、うつや不眠が鉄分の摂取で改善する事もある。
摂取するにはヘム鉄が吸収が良い。
*ビタミンB群
たんぱく質から脳内物質を合成する過程で必要。
不足すると集中力や記憶力低下につながる事もある。
B群の摂取で不眠が改善する事もある。
*たんぱく質
神経伝達物質の材料
*コレステロールの不足は脳の栄養不足につながる。
時間の関係で栄養学の部分の一部になったが、先生の経験をまじえた話が伺えた。
【考察】
お話の中に栄養の吸収と慢性炎症による消耗という事がでてきたが、中医学で言えば気血生化の源は脾ですので、吸収が弱い時は健脾が必要だと思う。また慢性炎症の原因は虚熱や血熱や肝火など色々考えられる。栄養補給とともにそれを受け取る身体も整える事が必要だと感じた。
平成28年5月29日 日本中医薬研究会シンポジウム
第1部「舌診を極めよう!冠心病中心に」上海中医薬大学日本校教授 高橋楊子先生
・冠心病は狭心症や心筋梗塞などの循環器系疾患の事です。
・心臓をとりまく冠状動脈の血管の内腔が狭くなるこれらの疾患は中医学では瘀血(心血瘀阻)の状態です。
ですから、舌色は紫または暗い色、或いは舌の瘀斑(班に黒ずんでいる)瘀点(暗いポツポツ))があったり、舌の裏側の静脈が長く、または太く、または所々膨らんでいたりしているなら瘀血が存在します。
・瘀血の発症原因に分けて分類したそれぞれの舌の状態
①気虚瘀血、②血虚瘀血、③気滞瘀血、④寒凝瘀血、⑤痰濁瘀血
3つの症例
以上についてスライドを使って画像を指し示しながら講演されました。
第2部「活血化瘀の臨床応用」北京中医薬大学付属 東直門病院 郭維琴先生
・郭先生は冠心2号方を作った郭士魁先生のお嬢さんで研究を継承していらっしゃいます。
・郭士魁先生は著名な中医薬学者で心血管・循環器分野の名医で『狭心症患者の救世主』と称されました。
・中医学理論を重視するとともに現代科学技術の視点からも研究されました。
■血瘀証の治療実践
婦人病 月経不順 産後悪露不下 乳汁不足 癥痂など
久病 気虚・血虚・陰虚・陽虚から発展
老人多虚 脾腎陽虚・肝腎陰虚から発展
外傷 打撲 機械性損傷(ステントによる血管内皮の損傷)
外邪襲来(特に寒邪)
■活血化瘀薬の分類
補血活血薬・涼血活血薬・辛温活血薬・行気活血薬・破血活血薬
冠元顆粒は破血薬以外はすべて含まれた方剤
■血瘀証と治法
気虚血瘀…益気活血
寒凝血瘀…益気通陽活血
気滞血瘀…理気活血
■中医学弁証の症例分析
①心腎陽虚型の胸痺に対して 温陽通脈・活血止痛
②更年期女性の胸痺に対して 補肝腎柔肝・祛瘀通絡
③頚動脈プラークに対して 活血化瘀・軟堅散結
④血管性認知証に対して 化瘀祛湿・醒脾開痺
⑤老人に対する心機能保護 益気活血・健脾利水
⑥外傷性血瘀 三段階治療法
(ステント留置術後の三段階治療法)
■丹参と川芎の応用
■2症例について 基本情報 診断と理法方薬 症例分析