皆様 こんにちは。薬眞堂薬局です。薬眞堂薬局では40年以上の豊富な経験を持つ薬剤師がご相談を伺っております。
中医学漢方では陰陽の調和、気血津液・五臓六腑の円滑な機能の維持によって、恒常性が保たれ健康でいられると考えられています。それが崩れると体調も崩れ病気になる事もあります。
ですから中医学漢方において身体の状態の把握は重要なポイントです。不妊症・更年期障害・生理痛・生理不順など気血精の不足、また気血の巡りの悪い状態の事が多く、それには肝・腎・脾が深く関わります。腰痛・関節痛・坐骨神経痛も肝腎の衰えが元になっている事が多く、アトピー性皮膚炎は脾が関わっている事がよくあります。
このような中医漢方の見方に立ち、確かな弁証論治の力で 自然治癒力を高める身体作りをしていきませんか?
是非お気軽にご相談下さい。
漢方で考える女性の身体
黄帝内経の中に『女子は7年ごとに節目を迎える』という事が書いてあります。
七歳腎気盛、歯更髪長
7歳 腎気が増してきて歯が抜け替わりだし、髪も伸びてくる
歯や髪は腎の充実とかかわりがあります。『腎は骨を主る』といい、歯は骨の余り・・・だからです。また『腎の華は髪にある』といいます。腎気が増してくると身体も抵抗力がついてきます。
二七而天癸至、任脈通、太衝脈盛、
月事以時下。
14歳(7年×2) 天癸至り、任脈が通じ、太衝脈が盛んになって月事時を以ってくだる。
7年が2回りして14才になると思春期をむかえ、血の道が通じて月経がくるようになる。・・・という意味です。天癸は陰精の事だと書いてありますが、ホルモンとかの生殖に必要な物質的な要素のことです。任脈や衝脈は月経や妊娠と関係のある経脈です。14才になると腎気はさらに盛んになって天癸に至ります。『腎は生長・発育・生殖を主る』といって人の一生と深くかかわっています。逆にいえば、腎が虚していると思春期になっても天癸に至る事が出来ず月経が来潮しないという事になります。
三七腎気平均。故真牙生而長極。
21歳(7年×3)腎気は平均する。故に真牙生えて身長は極まる。
7年が3回りして21歳になると腎気は充満してきます。腎気は生まれた時から増えつづけ、21才でその力が一杯になります。ですから親知らずがでてきたり、身長も伸び止まってきたりします。腎気が充満という事は体力・気力が充実していると言う事です。この充満している状態は35才まで続きます。
四七筋骨堅、髪長極、身体盛壮。
28歳(7年×4)筋骨堅く、髪の長極まり、身体盛壮なり。
7年が4回りして28歳になると筋骨がしっかりして、体力的にも充実して壮健な時期です。21才で腎気は充満し、28才は充満した状態がつづいています。体格ばかりでなく、心にも余裕がもてるようになり、大人の女性として一番輝いている時期だと思います。まだまだ、肌や髪など容姿に衰えを感じる時期ではありません。「わたしはちょっと・・・」という場合は少し問題です。食生活の不摂生(特に無理なダイエット)・生活リズムの乱れによって腎気・腎精を消耗しているかもしれません。
五七陽明脈衰、面始焦、髪始堕。
35歳(7年×5)陽明の脈衰え、面が焦れ始め、髪が堕始める
7年が5回りすると陽明の脈が衰えて顔がやつれ始め、髪も抜け始めます。女性は月経があるせいか血から衰えるといいます。血は身体を滋養する元になるものです。衰えが見え始めるのはその元が不足する為です。血は肝と関わりが深く『肝は血を蔵す』といいます。この言葉から肝が血を蓄えている事がわかります。肝が弱ってくると蔵血の働きも弱まり、また蔵の血が不足すると肝の働きも弱ります。
六七三陽脈衰於上、面皆焦、髪始白。
42歳(7年×6)三陽脈上に於いて衰え、面は皆焦れ、髪は白くなり始める。
7年が6回りして42才になると3つの陽脈の上部を循行している部分は衰えてきて、容貌も皆やつれてきて、髪も白くなり始めると書かれています。まだ閉経には早い時期ですが、この頃から月経が乱れ始める人もいます。腎気の満ちている状態は35才から少しづつ減ってきています。腎は『精を蔵し、生長・発育・生殖を主る』といいます。精は狭い意味ではホルモンなど生殖に関わる物質ですが、広い意味では“生命の持つ底力”のようなものです。
よく働いている人に「精がでますね」といったり、持ってる力を使い果たした時に「精も魂もつきはてる」とかいたりしますが、この言葉からなんとなく理解できると思います。この腎精も腎気も少しづ減ってきますが、その下降曲線はなだらかで少しづつ下降するのがいい状態です。35才から42才頃体調の不調を訴えたり病気が出だすこともよく見られますが、漢方的には肝腎が不足してくる時期で陰陽バランスも崩れやすくなってくるからです。
七七任脈虚、太衝脈衰少、天癸竭、地道不通。故形壊而無子也。
49歳(7年×7)任脈虚し、太衝脈衰少して、天癸竭し、地道通ぜず。故に形壊れ、而子無き也。
7年が7回りして49歳になると任脈や衝脈が衰え、天癸は枯渇して血の道は通じなくなり閉経を迎えます。身体も衰えて、子供も出来なくなります。腎気が増えてきて14歳で天癸に至り腎気が減ってきて49歳で天癸が枯渇します。閉経の年をはさんで前後10年くらいを更年期といいます。
西洋医学的には卵巣の機能の低下により女性ホルモンも分泌量の減少、それにともなって卵胞刺激ホルモンが過剰に分泌され自律神経やサイトカインを刺激し、不定愁訴がでてきます。中医学的には肝腎が不足により陰陽のバランスが崩れるということが根本にあると考えます。
この理論がかかれている黄帝内経は紀元前86年頃から紀元前26年までの間に、いくつかの医学書をまとめる形で改訂・編纂されたものだそうです。49才子無というのは現代の医学的な考えからいってもあっていると思います。時間をかけた人間観察力の賜物・・・すごい!と思いませんか?
本の中に更にこんな事もかかれています。
「年をとっても子供が生まれる時があるよ。」
「それは生まれながら丈夫で、腎気がありあまっているからだよ。でも男子は64才、女子は49才は超えないよ。(男子は八八つまり64才子無とかかれています。男子は8の倍数で変化します)」
「でも でも 養生の道理をわきまえている人は?」
「養生をわきまえている人は、腎気を保持できるから、その肉体は容易には老い衰えないのだよ。」
・・・・だそうですよ。