皆様 こんにちは。薬眞堂薬局です。薬眞堂薬局では40年以上の豊富な経験を持つ薬剤師がご相談を伺っております。
中医学漢方では陰陽の調和、気血津液・五臓六腑の円滑な機能の維持によって、恒常性が保たれ健康でいられると考えられています。それが崩れると体調も崩れ病気になる事もあります。
ですから中医学漢方において身体の状態の把握は重要なポイントです。不妊症・更年期障害・生理痛・生理不順など気血精の不足、また気血の巡りの悪い状態の事が多く、それには肝・腎・脾が深く関わります。腰痛・関節痛・坐骨神経痛も肝腎の衰えが元になっている事が多く、アトピー性皮膚炎は脾が関わっている事がよくあります。
このような中医漢方の見方に立ち、確かな弁証論治の力で 自然治癒力を高める身体作りをしていきませんか?
是非お気軽にご相談下さい。
慢性硬膜下血腫
以前NHKの認知症の番組で認知症かと思っていたら慢性硬膜下血腫で手術に認知症状が消えた・・・というのをやっていました。
ころんで頭を打ったり、比較的軽い外傷がもとで硬膜とくも膜の間に血腫ができるのを慢性硬膜下血腫といいます。
はじめは症状はありませんが、ジワジワ出血が続いて2ヵ月くらいすると血腫が大きくなって脳を圧迫する為症状がでてきます。
気力がなくなってきて動作が緩慢になり認知症のような症状が出たり、さらに血腫が増大し意識障害をおこしたり、呼吸中枢に及ぶと危険な状態になります。
頭蓋骨に穴をあけて血液を抜くそうですが、酷くなると症状に応じた手術になるそうです。軽いうちなら後遺症もなく改善しますが症状が進行していると軽い後遺症が残るという事です。
中高年に多く特にアルコールを飲む人に多いとなっています。
その番組では軽くお玉でポンと頭をたたいただけでもなってしまう人もいると言っていました。
びっくりですよね。
私もおっちょこちょいなので頭をぶつける事があります。例えば探し物をしていて頭の上の扉を開けているのを忘れて立ち上がって「痛っ!!」とか・・・
結構つよく打ったのに慢性硬膜下血腫になったわけではありません。
しかし 立ち上がった時頭をうって慢性硬膜下血腫になり手術をして血液を抜いたという話は何度か聞いています。
何故中高年になると増えるのでしょう。また何故アルコールを飲む人に多いのでしょう。
つまり出血し易くまた止まりにくくなっているという事でしょう。
これを防ぐにはどうしたらよいのでしょうか?
中医学の智恵で考えてみたいと思います。
まず外傷の止血という事で思い浮かぶのは田七です。
田七は別名三七とか田三七とか言ったりします。
中薬学には『田七は甘緩温通し苦降下泄し、散瘀止血・消腫定痛の効能をもち、一切の血証に効果を示し止血して瘀をとどめる弊害がないので、止血の要薬になっている』と書かれています。
『血証』とは出血傾向になる病態の事で、鼻血・歯ぐきの出血・痰に血が混じる・吐血・便血・尿血・皮下出血など色々です。
田七は出血の時の要薬ですのでまず田七は使いたいものです。
また『血証』の弁証から考えれば身体の状態をみていかなければなりません。
血熱・気の不足による統血不足・そして瘀血があります。
まず血熱ですが、これはアルコールの多飲とも関係があります。
例えば一般に酷い怪我の時・のどが赤く腫れて傷むとき・胃炎をおこしている時などアルコールを避けるのではないでしょうか?
それは炎症を起こし充血している状態を悪化させない為です。
血熱とは出血傾向、充血状態つまり毛細血管が拡張して出血しやすくなっている状態です。
沢山お酒をのんだり、辛いものの食べすぎなどから血熱を生じる事もありますし、更年期の陰血不足の時期にストレスによってなる事などもあります。
その場合は涼血止血と言う方法を用います。
たとえば 清営顆粒などです。
年齢とともに気血は不足してくるので気の固摂作用の失調により統血できずに出血傾向になるのは多く見られます。
胃腸機能が弱いと気血を作れず統血不足を起こす事もよくみられます。
その場合は心脾顆粒(帰脾湯)などです。
瘀血も年を重ねると多くなってきます。血行障害・うっ血など痛む・しこる・黒ずむの三大症状がある人も少なくないと思います。
田七はすべての血証に使えますが、散瘀(瘀血を散じる)働きがあるので、他の活血化瘀薬と一緒に使ったり単味で使うのも良いと思います。
田七は毎日少しずつ飲んでいくと良い物の1つだと思います。