新型コロナの陽性者や治癒者の家族や会社などに関係するいわれのない差別や避難が問題になっています
陽性者の隔離は感染防止の為であって一時的なものですが、差別的感情は長期になりやすく怖いと思います
差別的感情は恐怖心からおきていると思います
密閉・密集・密接をさける事とマスクをし、帰宅後はしっかり手洗いすれば感染しないはずです(マスクをとるシーンではリスクはないとは言えませんが・・・)
感染の多い地区から親戚がくるからといって隣のうちの人が怖がるのは意味がありません
たとえ隣の家の人が陽性だとしても感染するわけではありません
理屈でわかっていてもなんとなく怖い
マスクをして手洗いや消毒をしているけど、
もしかしたら買い物で?
もしかしたら電車で?
もしかしたらバスで?
もしかして職場の人は大丈夫かしら?
私達はわけのわからない不安にとらわれてしまいます
この不安やストレスを感じている状況が続いていて身体が影響をうけないはずがありません
中医学は七情内傷といい感情と内臓は密接に関係しているとしています
『肝は疏泄を主る』といい気血の流れの調節をしているので不安やストレスにより疏泄機能が失調すると五臓に影響します
また肝は将軍といい、将軍はフラストレーションがたまると他の臓腑に八つ当たりし、臓腑によって色々な症状がでます
微熱が続く
1ヵ月以上微熱が続いている・微熱になったり平熱になったりする・色々考えて不安になる
春先や季節の変わり目にもよくあります
また、風邪や病気のあとに微熱がとれない時もあります
邪気が残っている場合もあるし、気が不足している場合もあります
漢方薬としては柴胡桂枝湯・胸虚散・衛益顆粒・勝湿顆粒・補中益気湯・心脾顆粒など
養生食として板藍茶・板藍のど飴・五涼華
気鬱
憂鬱・楽しくない・イライラする・なにもやる気がおきない・だるい・疲れやすいなど
肝の疏泄機能の失調や心や脾のよわり、胆の虚など色々理由はあります
血を蔵す肝(その腑胆)・血脈を主る心・血を生む脾と精神面の強さは血と関係しています
疲れやすく、やる気がないのは脾と、イライラするや怒りっぽくなるなどは肝と、眠れない、不安感などは心と関係している事が多いようです
漢方薬としては逍遥顆粒・心脾顆粒・酸棗仁湯・温胆湯・天王補心丹・気上散・鎮気散など
養生食品としてはミンハオ・香ロゼアなど
咽に違和感
咽がなんとなく痛い、イガイガする、顎の裏側の奥が痛いなど訴える方もいます
咽も肝の経絡と関係しています
漢方薬は銀翹散・柴胡桂枝湯・ワグラスD・麦門冬湯・桔梗石膏エキス散など
養生食品 響声白龍散 板藍のど飴
調子の悪さを感じたら早めご相談ください
早めなら早めによくなります
黄耆は私の好きな中薬の1つです
少し前には黄耆の益気固表の働きがあり玉屏風散(衛益顆粒)という方剤がある事を書きました
生薬と言われるものは中医学では中薬といいます
中薬の中には生薬に属さない食品もはいっています
例えばあずきも中薬の1つです
中薬学にみる黄耆
中薬学では黄耆の働きは主に6つあると書いてあります
補気昇陽・補気摂血・補気行滞・固表止汗・托瘡生肌・利水消腫
基本的の黄耆は補気薬ですから症状が気の不足による時に使います
補気昇陽・・・気を上に上げる
気血が上に昇らないと頭がボーっとする・立ち眩み・元気がなくやる気がでないなどの症状がでます
また五臓の上の方にある心や肺に気血が届かなければ息切れや動悸になるし、上に向かうエネルギーがないと内臓が下垂します
補気摂血・・・固摂(漏れないようにする)気の働きを補い血がもれないようにする
気の働きは5つあるとされていてその1つが固摂作用です
あるべき所から漏れないようにする働きです
そのうち血が漏れないようにするのを統血作用といい脾気が担当しています
不正性器出血や皮下出血や便血なども統血不足の時もよくあります
補気行滞・・・気の推動力の不足によって滞ったのを流す
四肢のしびれや運動障害など気の不足が原因する事もあります
固表止汗・・・以前玉屏風散の事を書いたときに詳しくのせました
托瘡生肌・・・気血不足で傷などが修復しない時に使う
化膿性疾患の治りが悪い・潰瘍や傷口がふさがらないなど治す力が弱くなっている時に
*私は以前歯痕の病巣が治らず切開するのがいやで幾つかの漢方薬に煎じた黄耆を加え1ヵ月半くらい飲んで治った経験があります
利水消腫・・・水を利してむくみを解消する
水液代謝のエネルギーの不足で浮腫みが生じているので 気を益し湿を除く
以上の事からも黄耆が冷えタイプのエネルギー不足の人に良い事がわかります
どんなに優れた生薬でも体質が合わなければかえって悪くなります
身体が温に傾きのぼせやすい人にはその状態を助長させてしまいます
使用上の注意には性質が温昇で助火し固表止汗するので実証・熱症・陰虚陽盛など使えない事が書かれています
一昨年前成都中医薬大学耳鼻咽喉科で研修させてもらった時気虚のアレルギーの人の処方中には黄耆が書かれていました
補中益気湯・玉屏風散(衛益顆粒)・帰脾湯(心脾顆粒)・参茸補血丸・虚労散など黄耆の使われた処方です
補という事は即座にできる事ではないのでゆっくり身体づくりする気持ちも大事です
急性熱性病と瘀血
瘀血の原因
ちょっと前に瘀血は何かを書きました(その他の病気…瘀血の話)
ではどんな事が瘀血の原因になるのでしょう
中医学の基礎によると
1 外傷
2 炎症
3 高熱
4 手術
5 出産
6 月経異常
7 出血性疾患
8 免疫異常
9 寒冷
10ストレス
11心血管系の疾患
新型コロナの場合2と3肺の炎症や発熱が当てはまります
中医学には温病学があってこれはインフルエンザのような都市型の流感に対応して出てきた学問です
病気の進みを4つに分け一番深く入り込んだ状況を血分としています
出血や瘀血は血の病です
温熱の病と瘀血
清の時代の葉天士は温熱病が身体の中で衛分→気分→営分→血分と進むと考えました
これを衛気営血弁証といいます
衛分証では鼻や咽など肺衛が温熱の邪に犯され発熱・微悪寒・舌突紅・脈浮数や更に喉の腫れ口喝などが現れます
気分証になると温熱の邪が臓腑に侵入気機を阻害します
臓腑により異なりますが共通する症状は高熱・悪熱・心煩・口喝などです
営分証は温熱病の極期で高熱・口喝・心煩・不眠で酷くなると意識がもうろうとしたりします
血分証は虚と実に分類されます
実では温熱が心包を犯せば意識が混濁し、動血すれば吐血・鼻血・血尿や血便など出血傾向となる
また動風すればこわばりや痙攣がおきる
虚は高熱による消耗やもともとの体質により血虚や陰虚になっていて虚熱の症状もみられる
血が熱をもって出血傾向に血熱証といわれています
温病のような外から入ってくる温熱の邪によるばかりでなく、ストレスやイライラなどで化熱した状態から血熱になる場合もあります
*新型コロナやインフルエンザは温病の範疇です
*新型コロナはACE2受容体を入り口に細胞に侵入するそうです
この受容体は口の中に多いそうですが、発熱などで炎症がながびくと肺→血管へと
血管の細胞が炎症するとさらにACE2受容体が増えるそうです
*人の鼻や口腔粘膜は肺衛と言われる所です
風邪はひきはじめの3日が大事です・・・といつも言っていますが漢方薬も早めの服用が大事です
冠心Ⅱ号方と李連達教授
先日リモートの勉強会で李連達教授の話がでました
15年くらい前に来日し講演された事がありました
1958年頃小児のはしか、ウイルス性肺炎が大流行し多くのこども達が急性心不全を併発して亡くなったそうです
当時小児科の医師だった李先生はそれをなんとかしたいと考え冠心Ⅱ号方のような心血管病に効く冠心Ⅱ号方など丹参処方の製剤化に取り組んだのだそうです
当時の風潮として漢方を動物実験のような化学的検証に否定的だった為、機械や材料も自費でそろえて研究をしていましたが、その研究室をとりあげられたりし苦労の末、成果がみとめられました
現在中国で内服のみでなく丹参製剤の注射剤もあります
瘀血の3大症状は『痛む・しこる・黒ずむ』です
肩こり・足腰の痛み・頭痛しやすいなどはありませんか?
目の下のくま・しみ・歯茎の黒ずみなどありませんか?
静脈瘤などしこりはありませんか?
日頃活血化瘀の漢方薬や養生茶をのんでおきましょう