病気と漢方

2023-01-09

風邪は万病の元といいますが、風邪(かぜ)は風邪(ふうじゃ)とも読めます
病気の原因である六淫(風邪・寒邪・暑邪・湿邪・燥邪・火(熱)邪)の1つです
風邪(ふうじゃ)は①変化が急速②遊走性③上の方を犯す④揺らす⑤他の邪気を先導などの性質があります
風邪をひいて寒気を感じているうちに鼻水が酷くなり、熱が出てきて、咳も出だすという経験があると思います
長引くと食欲がなくなったり・咳がいつまでも続いたり・口が苦い等中医学でいうと風邪が裏(奥)に入った症状がでてきます
また咳が長引くと思っていたら肺炎を起こしたり、便秘になりお腹が張って苦しくなったりと色々な方面に症状がでてくる時もあります
また時に心筋炎や糖尿病を起こす事もあります

初期症状から
寒気から始まる風寒型
熱っぽさを感じる炎症性の風熱型
胃腸症状を伴い長引きやすい風湿型
があり、うまく治せなければ伝変していきます
だから風邪は初期の対処が大切なのです

風寒から始まる風邪は病の進みを6つの段階に分けています
傷寒論からの理論です
風熱から始まる風邪は病の深さを4つに分けています
これは温病学からの理論でインフルエンザなどのように発病が急激で炎症性のものに対応するものとなっています
中医学で新型コロナは温病学で考えられ風熱湿毒を視野にいれて弁証します

実は私達の周りにウイルスや病原菌が沢山います
NHKの高校講座の免疫について講義されている先生が「免疫機能がなければ、私達の身体はすぐに腐ってしまう」といっていました
私達に備わった免疫は絶えず働いて守ってくれています
なんと素晴らしい事かと思います

西洋医学は菌やウイルスに対抗する薬で対処しますが中医学は少し違います
中医学理論は自分の持っている免疫機能を最大限に引き出す事でウイルスや菌に勝つものだと思います

2022-11-26

足がつった・・・という経験のある人は多いと思います

私も数年前まではよく山歩きをしていましたが下山途中や降りてからよく足がつっていました
山歩きの時は必ず麦味参顆粒と芍薬甘草湯を持っていました
つった時は芍薬甘草湯を飲むとすぐに楽になってきます
湯の丸山上った時は日陰がなくて暑くて大変でしたが、降りてきた時にやっぱり足がつりました
芍薬甘草湯をのんでもすぐに治らず麦味参顆粒とイオン飲料ものんでやっと楽になった事があります
多分足の疲労だけでなく脱水ぎみになっていたのだと思います

足がつるのは筋肉の収縮の調節に関わっているマグネシウムやカルシウムなどの電解質の不足により神経の伝達がうまくいかなくなるからだそうです

病院で芍薬甘草湯を出してもらっている方も多いようですが、芍薬甘草湯は中医学的にはどんな漢方なのでしょうか?
芍薬と甘草の2味で構成されていて方剤学を見ると肝陰不足と肝気乗脾の為におきる腹中のけいれん痛や四肢の筋肉のひきつりに対して使い、効能は柔肝解痙・緩急止痛とかいてあります
これは肝の機能を柔軟にして痙攣を解き・緊急な状態を緩めて痛みをとめるという意味です
けいれんやひきつり原因については
①肝の陰血不足により肝気を抑制できない・・・筋脈が濡養できない
②肝気が脾虚に乗じて横逆・・・脾気阻滞・・・陰血不足・・・筋脈が濡養できない

つまり『肝は血を蔵す』『肝は疏泄を主る』『肝は筋を主る』など五臓の肝は重要なポイントになります
また、『肝は脾を克す』で脾の事も考えなければなりません
さらに『脾は肌肉を主る』ですから筋肉は肝と脾が一緒に司っているともいえます

急な状態に対して芍薬甘草湯ですが、その原因となる肝血・肝陰を補う事や肝気のコントロールや脾気を高める事が根本療法になります
血虚タイプの人は日頃 婦宝当帰膠やエッキ・フラーリンQなど補血薬を使っておくと良いです

「血の巡り」も大事な要素です
血の不足がなくても血が巡って来なければ筋肉は濡養されません
寝ている時につる人はレッグウォーマーをはいて寝てみて下さい
足が冷える人が活血化瘀薬や散寒剤など服用してください

疲労と津液不足の時もあります
ちょうど私が山を下山した時麦味参顆粒とイオン飲料で治った時みたいに・・
日頃の運動で体力をつける事と脾・肺に力をつけておく事も大事です
水液代謝と関係しているのは脾・肺・腎の3つです
身体の保水力が不足すると筋肉を潤わす力も不足します

芍薬甘草湯はつってしまった時によく効く漢方薬ですが、急な状態の時に使うもので長期に服用するものではないので、日頃補血薬や滋陰薬を服用したり・水液代謝を整えたり・運動・温めるなどの養生が大事です

2022-10-17

西洋医学でめまいの原因は①脳②耳③自律神経のどれかという事になると思いますが、メニエルや良性発作性めまいなど耳鼻科領域のめまいが多いと思います
ただ、時に脳腫瘍など重大な病気がある場合もあるので注意が必要です

めまいがするとクラクラしてよく見えない・頭がぐるぐるする・いつもゆれている感じなど頭や目の症状として捉えるようです

身体の中の風が揺らしている(肝陽上亢)

風が吹くと木々の葉が揺れるように身体の中の風が揺らしてめまいになるという漢方特有の理論です
五臓の肝の主気は風です
『肝は血を蔵す』といい肝の体は陰血です
肝血・肝陰の不足により肝陽を抑える事ができなくなり上に昇って風をおこします
肝の興奮を抑えて風を消します
天麻・釣藤鈎は平肝熄風の働きがあります
この状態の基本に肝腎陰虚があるので繰り返す時は滋補肝腎の杞菊地黄丸などを常用すると良いです

頭に力が足りない(腎精不足)
脳は髄海といわれます
腎は精を蔵し、髄を生じ、髄海に通じるといいます
つまり髄海が腎精で充たされない状態です
老化や慢性病が関係する事が多いですが、目が回るというよりふらつく感じと伴に足腰に力が入らなかったりします
補腎薬をつかいますが、鹿茸のような動物生薬は補腎益精の働きがあり効き目もよいようです

気血が少なく頭まで届かない(気血不足)

気血の不足があるので動いたり疲れたりすると症状がでたり悪化したりします
血が不足するので滋養できない上に気の不足により頭部までエネルギーが行かない状態です
補気養血の漢方薬で気血を補います

痰濁が脳に気血が行くのを邪魔する(痰濁中阻)

中医学で痰とは咳で出てくるものだけの事ではありません
気・血・水という言葉は聞いた事があると思いますが、身体を構成する基本物質です
中医学では水を津液といい性状によって分けています
この津液は身体に必要なものですが余分なものとして身体に溜まると湿となります
顔がむくむ・足がむくむなど浮腫みも湿によります
脂っこい物や甘い物の摂りすぎなどで脾胃の運化機能が失調すると湿がドロドロして痰になります
その為『脾は痰を生む源』と言ったりします
だからこのタイプのめまいは吐き気を伴う事がよく見られます
この場合は化痰薬で痰を取り除きます

瘀血の為、頭に気が昇らない(瘀血内阻)

瘀血によるめまいとして考えられるのは脳血管障害やむち打ち症などの外傷です
その他産後におこるめまいは血虚血瘀の事が多いです
活血化瘀は必要です

瘀血に対しては日頃から血に巡りを良くしておく事が大切です
ストレスをためると気滞血瘀になります
身体を冷やしたり冷たい物を常食したりすると寒凝血瘀になります
気虚や血虚も血瘀につながります
流れている水は濁らないといいます
身体を動かし・冷やさず・温め・ストレスを発散し、少しづつでも活血化瘀の漢方を使っていくのも良いと思います

« 次の記事へ 前の記事へ »