病気と漢方

2015-03-31

中医学漢方で身体づくりしましょう。

元気な赤ちゃん 中医学漢方で身体作りするならば、中医学漢方の理論が大切です。何故なら、薬効で使うのでなく、身体のバランスのひずみを少しでも改善する為のアプローチだからです。

 

 

二七にして天癸至り、任脈通じ、太衝の脈盛んにして、月事時を以って下る。故に子有り。

 月事時を以ってくだるとは月経がはじまるという意味です。腎は生長・発育・生殖を主るといって、人の発育は腎気の充実を関係しています。二七(14歳)くらいになると腎気は益々盛んになって天癸(生殖機能の成熟を促す物質で腎気と密接な関係がある)至りる。

 そして衝任の二脈に通じて子供できるようになります。これは脾・肝・腎と血海(胞宮)をつないでいます。ですから生殖機能において腎は重要ですが、肝・脾も重要です。ただし五臓は相生相克で関係している事も忘れてはいけません。また督脈・帯脈も胞宮の正常な生理機能の保持に大切です。

月経周期に合わせて漢方を考える。

妊娠中 基礎体温をみると女性の身体には周期がある事がわかります。ちょうど夜と昼が繰り返しくるように、低温期と高温期が繰り替えされます。低温期は陰 高温期は陽の時期にあたります。

 また月経期は陽が極まって陰に転化、排卵期は陰が極まって陽に転化するという動きのある時期です。この考えに合わせて漢方や漢方食品を運用していきます。

痰湿瘀血が正常な営みを邪魔している。

 痰湿や瘀血は経絡や血脈の気血の流れを阻害するものです。これらは病理副産物ですが、なぜこの状態になったかを考えて 解消する必要があります。

寒と熱

 胞宮をとりまく環境は冷えも熱もよくありません。冷えて血行がわるくなれば瘀血のもとですし、熱は気や精血の消耗につながります。熱はストレスと関係した肝鬱化火や陰虚による虚熱、また 血熱や心肝火旺などいろいろな状態が考えられます。

 自分の状態を知って身体づくりしましょう。

2015-01-15

パンダ⑤ 下痢と一口にいっても色々なタイプがあります。小さい頃からお腹が弱くて下痢しやすい人。お腹が張りやすく、便秘も下痢も或る人。冷えると軟便になったり下痢したりする人。緊張すると下痢する人。食べ物によって下痢する人。・・・その食べ物も合わないで下痢する時と、消化不良で下痢する時は違っています。細菌やウイルスによって下痢した時。それぞれ全ぶ違います。

 飲食物の消化・吸収、栄養物質や水分の輸送は脾胃の働きによってなされています。この働きに肝の疏泄機能も関わっています。更に言えば心・肺・腎も相生や相克の関係でつながっています。

 “脾は昇清を主り・胃は降濁を主る”といい 脾のエネルギーは上に向かっています。この力が弱いと(脾気虚、中気不足)下痢しやすくなります。この時 補中丸や健胃顆粒やリキ錠などを使います。もし 脾気虚で水湿が多ければ健脾散を使います。健脾散の使い方として下痢が続いて脾陰が不足した時も使えます。中に脾陰を滋潤する山薬・蓮子・白扁豆・薏苡仁が入っているからです。

 いつもお腹が冷えやす 軟便や下痢っぽくなったり、お腹がひきつれたり、痛んだりする時は虚労散が奏効します。更に冷えが酷く手足も冷えて下痢し、元気がなく 時に息切れしたりして エネルギーの不足が著しい時は理中湯を使います。これらは体質の虚弱が関係した下痢です。神経を使うタイプで緊張すると下痢になる。または下痢と便秘を繰り返すタイプの人、たとえば過敏性腸症候群の人は肝気横逆とか肝脾不和といわれる状態です。漢方薬では開気丸や逍遥丸 または香砂六君子湯(健胃顆粒)などを使うと良いです。

 他に急性胃腸炎のような外邪が関係した下痢があります。例えばウイルス性や細菌性の胃腸炎で 昔から胃腸型感冒とかお腹の風邪とかいわれるタイプのものです。その時は勝湿顆粒のような外邪を払って内を整えるタイプの漢方薬を使います。この時 涼血治痢・解毒消腫の馬歯莧を一緒に飲みます。その昔 赤痢の時に飲んだといわれるもので、もしお腹の痛みが酷かったり、便に血が混じるようなら必ず飲んでおくとよいです。もし 水っぽい下痢が止まらなければ 分利という働きのあるフラーリンA(胃苓湯加減)を加えます。

 潰瘍性大腸炎のように原因不明の炎症→糜爛→潰瘍と進む場合は清熱解毒涼血という方法も必要になります。また脾胃を助け、力をつけていく必要もあるでしょうし、肝の問題あればそこも見なくてはいけないと思います。脾胃は気血を作る源ですから健脾益気して整えておきましょう。

 下痢に対して漢方薬は大きな助けになると思います。しかし 下痢しやすくなったのはその裏に大きな病気が隠れている時もあります。特に今まででそんな事なかったのに体質がかわったのかしら?と思うようなときは必ず受診してください。

2015-01-15

パンダ⑦ 胃食道逆流症GERDが話題になっています。胃から食道に胃液や食べ物など逆流する事により色々な症状がでます。喉の異物感・胸焼け・咳など。咳も?と思われるかもしれませんが、食べ物でむせて咳き込む事から考えれば納得できると思います。要因は食道と胃のつなぎ目付近の括約筋がゆるんで、胃酸や食べ物が逆流するそうです。もし胃酸やペプシンなどの消化液の逆流により胃の入り口や食道が炎症すれば逆流性食道炎となります。胃壁や食道の壁が侵食され、酷くなると潰瘍になります。もし長期におよぶと粘膜が変性して癌にならないとも限りません。

 西洋医学では胃酸の分泌を抑える薬で侵食を防ぎます。プロトンポンプ阻害剤やガスター10のようなH2ブロッカーを使っている方は沢山いらっしゃいます。でも括約筋の緩みなどの開閉の異常に対して改善する方法はありません。開閉するシステムの異常を考えたとき

1つはエネルギー的不足によってしっかり閉める事ができない。
2つ目は柔軟性が失われているため器質的にしっかり閉められない。
3つ目は機能が混乱している(調節機能の異常)

 など幾つかの事が考えられるのではないでしょうか?そのうち1を中医学で考えると、気虚にあたります。しっかりもれないように閉めておくのは気の固摂作用にあたります。

 赤ちゃんにお乳やミルクを飲ませた後、軽く背中をたたいてげっぷを出させ、しばらく寝かせないで抱っこしておきます。これは胃が牛乳瓶のようにまっすぐしている事に加え、括約筋の筋力も弱いので、乳がもどりやすいからです。小さな赤ちゃんはまだ気の力も弱いのです。

 中高年ではどうでしょう。若い時は多少の食べすぎや飲みすぎがから胃食道逆流症になることは少ないと思います。しかし年齢が進むにつれて気の力も弱くなってきます。中年以降は食べすぎや飲み過ぎを避け よく噛んで 規則正しい食生活をする事が大切です。しかし若ければ大丈夫というわけではありません。酷い食生活や生活リズムの乱れが長期に及べば脾胃を傷つけます。脾胃の働きの弱い人は ある一定の年齢になったらしっかり養生すると共に健脾薬を服用し機能をバックアップする事も大切です。健胃顆粒・健脾散・リキ錠・虚労散・補中丸・心脾顆粒など個々にあった漢方薬を滋薬として使って行く事も良いと思います。

 2つ目の器質的に問題があるという事は筋肉が硬くなっているという事で考えられるのではないでしょうか。中医学で『肝は筋を主る』といいます。この言葉を基に養血・柔肝という方法と『痛む・しこる・黒ずむ』は瘀血の要素ということから、活血化瘀という方法を用いたいと考えます。

 さらに3つ目は若い方にもみられると思いますが、ストレスとも関係しています。機能のコントロールがうまくいかないという事は肝の疎泄機能の失調と関係していますから、温胆湯・逍遥丸・開気丸・気上散・抑肝眩悸散などが考えられますが、元に脾胃気虚がある場合は健脾の方剤を併用します。

 胃食道逆流症の考え方についてのべました。いつから どうして そして現状は?というのが中医学漢方において身体がどうなっているかを知る重要なポイントです。治そうと思えば 先ず知ることから始まります。

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