中医学で癌を考える

 癌を中医学で考えると幾つかの条件が重なって癌になると考えられています。

1、正気が虚している
2、痰湿・瘀血・気滞など停滞がある
3、熱毒が加わる

 この正気の虚というのは血虚の時もあれば気血両虚の時もあるし、陰虚のこともあるし、その他人によっていろいろです。停滞の生じた理由もそれぞれでしょう。熱毒は身体の方に原因があることもあれば外邪の侵入が引きがねになる事もあります。

「わたしはこれを飲んで癌を克服しました」
「驚異の○○で癌が消えた」

 などと誇張した宣伝が横行しています。しかし、一筋縄でいかないのが現状です。宣伝にのって高額の健康食品を買ってよくなる人はほんの一握りの人です。でも一握りに入れれば・・・と望みをたくすのです。

 中医学の本場中国では治療は一般的に中西医結合で行われているそうです。抗癌は西洋医学が、扶正は中医学が行います。扶正は弁証論治なくして行えません。

 体内からとりだした免疫細胞に癌細胞を認識させて再び体内に送り込むという免疫療法の事をテレビで見たことがあります。これなら癌細胞が確実にたたけるようにみえました。しかし、著効率はすごく低い。アッタカーに標的を覚えさせ元気をつけて送り出しているのになぜ確実でないのでしょう?

 抗癌効果を期待できると思われる食品が、癌細胞の自滅(アポトーシス)をひきおこすかをみる実験もさかんに行われていて、これも、こっちもと実験的にはいい結果がでていますよと言っています。じゃあ、それを飲んだり食べたりしたら、誰でも身体の中の癌細胞が自滅させることができるのでしょうか?そううまくはいかない事がほとんどです。中医学では、先ず、よく状況や状態を見つめ、何故癌になったのかから考える(病因病機を考察する)事から始めます。中医学で免疫力は正気の充実ということになります。つまり気が充実してしっかり働ける状態ということでしょう。

 しかし気が充実する為には血の充実も大切な要因になります。「血は気の母」「気は血の帥」ですし、「精血同源(精と血は源は同じ」といいます。この気血と五臓の関りからも考えなくてはいけません。この平衡をとること・バランスは重要です。病気と戦うには体力が必要です。体力は物質的基盤(精・血・津液)にささえられたエネルギー(気)です。この崩れの原因は過労・食や生活の不摂生・過度のストレス・老化・久病などいろいろ考えられます。特にこれまでの生活に問題がある時は改善していかなくては、免疫力もアップしてこないのではないでしょうか?