感染・発熱・解熱剤
昭和29年生まれの私ですが、実家も薬局でした。
昔は“麻疹は一生の大病”といわれていましたが、2人とも家で治したと言っていました。
烏犀角という薬が麻疹の薬として市販されていたようです
名前からして犀角(さいの角)が入っていたのだと思われます
犀角は優れた熱さましですが今はワシントン条約で禁止されています
その両親がいつも言っていたのははしかに感染した時は
1、風にあたってはいけない
2、強い解熱剤を使うと発疹が外にでず、内側(内臓)が(ウイルスに)やられる
という事でした
私はインフルエンザも含めウイルスの疾患に子供たちがかかった時はそれを守ってきました
子供が小さい頃は病院でインフルエンザに強い解熱剤が使われていましたがインフルエンザウイルス脳症がそのせいだとわかり20年くらい前からボルタレンのよう強い消炎解熱鎮痛剤は使われなくなり、熱も38.5℃以上になったら使うよう指示される事も多いと思います(高熱でひきつけを起こす場合は別ですが・・・)
発熱はインフルエンザウイルスなどが身体に入った時に免疫細胞が活動する事によっていくつかの工程をへて脳から体温を上げる指令がでるそうです
体温が上がるとウイルスの活動がおさえられ、白血球の働きが活発になり免疫機能がたかまるそうです
テルモのホームページに解りやすく書いてあります
https://www.terumo-taion.jp/health/temperature/06.html
新型コロナの場合も人の免疫活動と言う意味では同じではないでしょうか?
そういう事においても感染初期に身体の状態にあわせた漢方薬を使う事は身体の働きをバックアップできると思っています
中医学もオンライン
先日、『新型コロナについて(中国における中医学の対応)』についてオンライン講座を受講しました
新型コロナは湿毒疫と考え、基本的病機は疫毒外侵・肺系受邪・正気虧虚です
つまり、外界から疫病が肺経(鼻・のど・気管支・肺など)に入り、正気(免疫力みたいなもの)も弱まる事により病気になる
中国で清肺排毒湯がよく使われたようです
この漢方薬は日本にはないので幾つかの漢方薬を組み合わせることで代用すると良いとの事でした
中医臨床も新型コロナに関する情報が扱われています
藤田康介先生は上海中医薬大学を卒業・博士課程も修了して医学博士で上海東和クリニック中医科に在籍し、日本の学校でも教鞭をとっておられるそうですが、中国における中医学治療について詳しく書かれています
中国において中医学も導入する割合は省によってちがいがあるそうです
武漢のある湖北省は中医学治療の使用率が低く、当局からの指示で改善されたそうです
一方広東省は当初から中医学治療が行われ『肺炎1号方』が考案され症状の緩和に一定の効果があったとして、各指定医療機関で採用されたそうです
藤田先生のいる上海は西洋医学・中医学の双方の特徴をいかした治療が受けられる恵まれた環境で、新型コロナの第一線に中医学の医療チームが送りこまれたそうです
時期や症状の重さの違いにあわせて注腸の方法なども含め治療指針が作られ、その中に回復期の処方ものっています
更に予防に関しても体質を3つに分け薬膳も含め予防法が示されています
未病先防の中医学ならではだと思います
特に虚弱体質には玉屏風散の加味方がとられています
前に書いたように玉屏風散は風邪をひきやすい人の体質強化の為の処方です
オンライン講座で新型コロナによる血栓の話がでていましたが、その後ブロードウエイの俳優が新型コロナの合併症で足を切断したという衝撃的なニュースが流れました
子供たちにも川崎病のような症状が出ているとの報告もありました
この話を聞いた時、ずっと以前に感冒の講義を聴いたときに葛根湯や桂枝湯などの芍薬は現在は白芍が使われているが、原典では赤芍がつかわれているという事を教わった事を思い出しました
赤芍は桂枝茯苓丸や冠元顆粒などに使われている活血化瘀薬にあたります
その時、風邪などの病気になると白血球活動が活発になるが白血球は大きな血球で病気がなおるが瘀血が生じる、それをみこして風邪の漢方薬に赤芍が使われたのだという話でした
漢方処方の奥深さに感心した事を覚えています