板藍根はウイルス性疾患にかかせない中薬です。板藍根のお茶の板藍茶はご愛飲頂いている方も多いと思います。風邪がはやりだすと学校でも煎じてのんだり、うがいさせたりして予防するそうです。パンダのにも飲ませているというのを聞いた事があります。
数年前の中医臨床に、命門会さくら堂治療院の先生の記事がのっています。北京に滞在した時インフルエンザが大流行に出くわしたがひたすら板藍根をのんだり、うがいしたりしてまぬがれた。という事が書かれていました。
板藍根はホソバタイセイの根です。味は苦く性は寒です。つまり熱を冷ますということです。中医学的な効能は『清熱解毒・涼血利咽』つまり熱を清し(冷まし)邪毒を解く(抗菌や抗ウイルスなどの病原は毒と考えます。)また血の熱を涼し(さまし)咽を治します。病気が身体のなかに入り込んで血に及びと出血し易い状態になります。充血や鮮やかに紅い皮疹など血熱を視野にいれます。
■中国の昔話です。(チャイナビューより)
むかしある所に大きなお屋敷があり柴刈りをする若者がいました。柴刈りに行っていた若者は山にある馬藍寺の板藍和尚に白湯を頂きお礼に水汲みを手伝っていました。ある時お屋敷の娘と恋におちました。しかし娘は役人に嫁がされることになっていました。二人を助けたい和尚は「これは死んでも生き返る薬草だよ」といって渡しました。娘はこれを飲んだので、親は死んだと思い埋葬しました。若者は棺から担ぎだし山寺につれていくと娘は息をふきかえしました。村を逃れる二人に、和尚は「これは疫病に効く薬草だよ」といって手渡しました。二人はこの薬草を売って生計を建て幸せに暮らしました。数年後和尚に会いに行くともう亡くなっていましたので、和尚を忍んでこの薬草を板藍根と呼ぶ事にしました。
中医学で板藍根はウイルス性疾患にかかせない中薬です。1988年に中国でA型肝炎が大流行した時予防と治療に大活躍で、上海市や中国全土の薬局から板藍根が消えたという話が今も語りつがれていると植物生薬物語に陳先生が書いています。数年前のインフルエンザの大流行の時も、サースの流行の時も、板藍根は品不足になりました。ウイルス性疾患だからといって板藍根だけでいいわけではありませんが、症状に対応する漢方薬に加えていくとよりいい結果がえられると思います。
前に書いた中国でインフルエンザが大流行した時、北京中医医院では病院内での感染を防ぐ為専門のスペースをもうけ、症状の型にあわせて予防及び初期患者に対する方剤をくみたててだしたそうです。その方剤は『防感合剤』といってその中に板藍根が30g入っています。清熱解毒・宣肺止咳(熱をさまし、毒(菌やウイルスや毒素)に対抗し、肺の宣発粛降の働きを改善して咳をとめる処方に板藍根を組みあわせた形になっています。我が家でも板藍茶はよく飲んでいますが、特にこれから先の季節はかかせません。