胃食道逆流症

パンダ⑦ 胃食道逆流症GERDが話題になっています。胃から食道に胃液や食べ物など逆流する事により色々な症状がでます。喉の異物感・胸焼け・咳など。咳も?と思われるかもしれませんが、食べ物でむせて咳き込む事から考えれば納得できると思います。要因は食道と胃のつなぎ目付近の括約筋がゆるんで、胃酸や食べ物が逆流するそうです。もし胃酸やペプシンなどの消化液の逆流により胃の入り口や食道が炎症すれば逆流性食道炎となります。胃壁や食道の壁が侵食され、酷くなると潰瘍になります。もし長期におよぶと粘膜が変性して癌にならないとも限りません。

 西洋医学では胃酸の分泌を抑える薬で侵食を防ぎます。プロトンポンプ阻害剤やガスター10のようなH2ブロッカーを使っている方は沢山いらっしゃいます。でも括約筋の緩みなどの開閉の異常に対して改善する方法はありません。開閉するシステムの異常を考えたとき

1つはエネルギー的不足によってしっかり閉める事ができない。
2つ目は柔軟性が失われているため器質的にしっかり閉められない。
3つ目は機能が混乱している(調節機能の異常)

 など幾つかの事が考えられるのではないでしょうか?そのうち1を中医学で考えると、気虚にあたります。しっかりもれないように閉めておくのは気の固摂作用にあたります。

 赤ちゃんにお乳やミルクを飲ませた後、軽く背中をたたいてげっぷを出させ、しばらく寝かせないで抱っこしておきます。これは胃が牛乳瓶のようにまっすぐしている事に加え、括約筋の筋力も弱いので、乳がもどりやすいからです。小さな赤ちゃんはまだ気の力も弱いのです。

 中高年ではどうでしょう。若い時は多少の食べすぎや飲みすぎがから胃食道逆流症になることは少ないと思います。しかし年齢が進むにつれて気の力も弱くなってきます。中年以降は食べすぎや飲み過ぎを避け よく噛んで 規則正しい食生活をする事が大切です。しかし若ければ大丈夫というわけではありません。酷い食生活や生活リズムの乱れが長期に及べば脾胃を傷つけます。脾胃の働きの弱い人は ある一定の年齢になったらしっかり養生すると共に健脾薬を服用し機能をバックアップする事も大切です。健胃顆粒・健脾散・リキ錠・虚労散・補中丸・心脾顆粒など個々にあった漢方薬を滋薬として使って行く事も良いと思います。

 2つ目の器質的に問題があるという事は筋肉が硬くなっているという事で考えられるのではないでしょうか。中医学で『肝は筋を主る』といいます。この言葉を基に養血・柔肝という方法と『痛む・しこる・黒ずむ』は瘀血の要素ということから、活血化瘀という方法を用いたいと考えます。

 さらに3つ目は若い方にもみられると思いますが、ストレスとも関係しています。機能のコントロールがうまくいかないという事は肝の疎泄機能の失調と関係していますから、温胆湯・逍遥丸・開気丸・気上散・抑肝眩悸散などが考えられますが、元に脾胃気虚がある場合は健脾の方剤を併用します。

 胃食道逆流症の考え方についてのべました。いつから どうして そして現状は?というのが中医学漢方において身体がどうなっているかを知る重要なポイントです。治そうと思えば 先ず知ることから始まります。