「現在、人は遺伝子的に120歳までといわれているけど、将来150歳までになるといわれだしているそうだよ。」
「そうするとやはり腎を補わないとね。」
「さらに肝も重要だよ。肝の事を言わない人もいるけどね。」
「でも、脾胃が弱いならいくら補腎しても無駄でしょ。脾が気血生化の源なんだから気血が補充されなければ腎も肝も養われないわけだし。」
「それはそうだ。」
というのは今朝の会話です。
中医学的に人生とは腎精だともいえます。腎精がつきれば人生もおわります。
腎には命門の火と命門も水があります。陰陽の根本である真陰・真陽も腎にあります。
『腎は生長・発育・生殖を主る』ですから、お母さんの体内で命の火を灯した時から腎の機能によって生長してきたといえます。私達が生まれ生長し・次の世代へ命をつなぐ仕組みは腎の力によるものです。
だから腎は解剖学的な腎臓でなく、つくり育てる事に関わるすべての営みが腎気、その力の元が腎精でそれらを主るのが腎です。
遺伝的に人生150年が可能になるという事は先天の本である腎(腎気・腎精)がより充実したに他なりません。
昔の書物に50代になると肝気が衰え始め、60代は心気が衰え、70代は脾気が衰え、80代は肺気が衰え、90代は腎気が衰え、100才になると五臓すべてがすっかり弱ってしまうとなっています。
腎気は命と関わっているので最後に衰える臓になっていますが、実際は腎気の力を表わした曲線は生まれたときから上昇し女子7×4才(28才)・男子8×4才(32才)をピークに下降していきます。だから下降曲線をゆるやかにしたいなら腎精を補うと良いわけです。
50代にまず肝気が衰えるのはうなづけます。その頃視力の衰えを感じる人は少なくないと思います。『肝は目に開竅する』といって肝の状態は目に表れてくるからです。
私は近眼ですが50才を超えた頃から近眼のめがねで本が読みにくくなり、始めは度をおとすくらいで大丈夫でしたが、今は遠近両用を使っています。
また、『肝は筋を主る』『華は爪にある』といい、足などの筋がつりやすくなったり、爪がもろくなったり、柔軟性を失って硬くなったりします。
さらに『肝は血の蔵』なので、肝が衰えると血の滋潤作用も低下し肌の乾燥・しわやしみが増える・髪がパサパサして白髪も増えるなどの症状がでてきます。
婦宝当帰膠で肝血を補ったり、杞菊地黄丸などで肝腎を補いましょう。
60代になり心気が衰えるとと動悸がしたり、気が弱くなってくよくよ考えたり、眠りも浅くなったり・小さな事で不安になったり涙もろくなったりします。
心には心臓の血液を送り出すポンプの働き(血脈を主る)と思考(神を臓す)する働きがあります。
例えばいやな話しを聞いて「心臓がどきどきして不安になった。」という場合心の2つの働きが影響を受けていると言えます。
動悸・息切れ・口が乾くなどの時は麦味参顆粒、
動悸・眠りが浅い・くよくよ考えやすい・物忘れが多いなどの症状がある時は心脾顆粒を、動悸・寝つきが悪く眠りも浅い・気持ちがざわざわする感じがする・舌がぴりぴりするなどの時は天王補心丹を服用すると良いです。
また心の駆血作用がよわまり瘀血がある時は冠元顆粒を併用すると良いです。
70代は脾気が弱るので、栄養の消化・吸収や水液代謝などが弱ってきます。さらに、脾気の統血作用が弱くなると出血傾向になります。疲れ易くなり、中気が落ちると内臓が下垂します。
補中益気湯・心脾顆粒・健胃顆粒・健脾散などで脾気を高めましょう。
脾は肺と相生関係で脾の衰えは肺の衰えにつながっていきます。
気血生化の元ですから、脾気が衰えると五臓全部が養われないのでしっかり補いましょう。
80代肺気が衰えます。『肺は嬌臓』といわれています。外とつながっている為に細菌やウイルス・ほこり・花粉・カビなど外界の影響をうけやすいからです。
鼻・喉は肺衛といって侵入者を入れないようにしている部分ですが、そこも弱くなって邪気を入れやすくなります。衛益顆粒(玉屏風散)・麦味参顆粒などで力をつけるとともに、風邪の季節には板藍茶で守りを強くしましょう。
また時にシベリア霊芝などを飲んで免疫力をアップしましょう。
90代は腎精を補いましょう。力のつくものが良いです。亀鹿仙・参茸補血丸・参馬補腎丸など精つくものを飲んで身体を滋養しましょう。
この養生法は先回りするのがベストです。衰えてから補うのでなく衰える前に補うのが未病先防の心得です。
*私自身は昨年の夏に胃腸を弱くしたので健脾散又は健胃顆粒・五行草茶・冠元顆粒をお湯に溶かしてのんでいます。
数年前に60代になり「あれ・これ」が増えたので毎朝のカフェオレに香ロゼア2袋をいれています。
健忘に良い心脾顆粒も1日1回はのんでいます。
すべて脾にやさしい漢方薬です。
あと薬膳としてヨーグルトに枸杞の実・なつめ・くるみなどを入れています。
老人性疣贅の予防のため薏苡仁をご飯に炊き込んでいます。
腎精を補う為、亀鹿仙を週に2~3回飲んでいます。
元気で一生中医学と関わって行きたいと思っています。