①人の身体や病気について中医学はどんな見方をしているのでしょう?

天人相応

 太古の時代 人類は地球上の大自然の中から生まれ出てきました。人は自然と共に生き、自然の中で発達して今にいたりました。そして 人は自分も自然の一部だという事を忘れかけています。しかし この世界そのものが 自然から出てきたものである以上自然の法則は人にも当てはまります。また、人の身体は自然の影響をうけているので 季節にあった養生をする事が健康につながります。
 

気血津液

 気血水という言葉は聞いた事があると思います。中医学では水を2種類に分けサラサラの水を津・関節の粘液のような粘りの水を液として津液という言い方をします。ですから中医学的には気血津液です。ではそれぞれの役割を考えてみましょう。

 気は全身を巡り機能的な部分をになっています。それと気持ちの気でもあります。昔から使われる色々な言葉の中に気の働きを見る事が」できす。『気が入る』『気落ちする』『気が抜ける』『気が弱い』『気力』『元気』・・・・気が足りなければやる気がでない、だるい、風邪をひきやすいなど身体や気持ちの力不足の症状がでます。また、身体中を流れず停滞しても(気鬱)、エネルギーが送られない為だるいなどの症状が出たりしますが それとともに気持ちの部分も鬱滞してフラストレーションをおこすのでイライラなどの症状もでてきます。

 気を補う漢方薬としては 麦味参顆粒(生脈散)・衛益顆粒(玉屏風散)・ホイオー錠(補中益気湯)・力があるものとしては大補気血(大いに気血を補う)の参茸補血丸がります。実際の運用に際しては五臓・寒熱など他の関係も考えにいれます。血は全身をめぐり身体や内臓を滋養(栄養)します。つまり全身を養ってるわけです。血の滋養がなければ手は物をつかむ事はできず、目もよく見えないし耳もよくきこえません。足の筋肉も滋養されず立つ事もできず、頭や精神も滋養できない為に充実した精神活動もできません。

 つまり、血液という概念よりもっと広い意味をもちます。ですから血虚イコール貧血ではありません。しかし貧血なら血虚という事はいえます。血が不足すれば血虚ですが、血の巡り悪い状態は瘀血です。瘀血の場合も血の行き届かない部分は滋養できません。つまり、部分的に虚血状態となります。瘀血と血虚は血の滋養作用を受けれないという意味では同じですが 治療の方法は自ずと違う事が解ると思います。血虚は血を補う(補血)・瘀血は血を巡らす(活血化瘀)です。補血の代表選手は当帰で婦宝当帰膠は70%近く当帰がしめている漢方薬です。他にエッキ(四物湯)・フラーリンQ(当帰芍薬散+帰耆建中湯)などあります。

 津液は全身を潤す働きです。津液が不足すれば皮膚はカサカサ 咽はカラカラ 肺もカラカラで痰の排泄もうまくできません。また、粘膜の潤いがなければ粘膜の繊毛の働きもわるく食物を送っていく力も弱く、便通も悪くなります。さらに血液中の水分が不足すると血の流れが悪くなり血栓ができやすくなります。

 夏に脳梗塞が多いのは汗により津液不足になるのが原因の1つです。漢方薬は生津・滋陰、補陰などの方法で補います。漢方薬としては益気生津の麦味参顆粒や香西洋参・八仙丸(麦味地黄丸)・潤肺糖漿(養陰清肺湯)養生食品としては百潤露があります。気血津液が充足して運行も正常なら病気をよせつけないばかりか、強い邪気に遭遇した時も正気が充実しているので充分戦えます。

五臓六腑

 気血津液の生成や運行に重要な役割をはたしています。実際に身体をみていくには五臓六腑のどこに弱い所があるのかを把握しなくてはなりません。例えば血が不足している(血虚)を考える時、肝の蔵血作用に問題があるのか?脾の生血の働きに問題があるのか?はたまた脾気が不足して摂血に問題があるのか?あるいは血熱による出血か?いろいろなパターンを考慮します。それには五臓それぞれの役割を知らなければなりません。また五臓は自然界の五行関係しています。ですから五行の相関関係は五臓の相関関係になります。