平成27年7月19日 埼玉中医薬研究会勉強会 「心脾顆粒ついて」 中医学講師 何暁霞先生
■昨年発売された心脾顆粒について症例をまじえて説明
済生方 宗の時代 厳用和により記載されている
論曰夫健忘者 常常喜忘也 善脾主意與思 心亦主思 思慮過度 意舎不潰 神宮不職 使人健忘。
・・・脾は意思 心も思を主るので 思慮が過度になる 気持ちのより所を失い 神の働きがうまくいかなくなって 健忘となる・・・というような意味だと思います。
病因として思慮過度は重要。
■心脾顆粒 思慮過度により心と脾が虚しておこる症状に適用
心と脾が虚す?・・・心と脾の働きって何でしょう?
心 心は血脈を主る・・・これは心臓の血液を送り出す働きの事です。
心は神を蔵す・・・これは脳の思惟活動の事です。
脾 脾は運化を主る・・・これは消化吸収・栄養分や水分の輸送などです。
脾は昇清を主る・・・これは水穀の精微を脾気によって上昇させます。
(運化作用の1つと考えられます。)
脾は統血を主る・・・これは出血傾向にならないようにする働きです。
*心と脾の働きが弱るとそれに関わる色々な症状が出てきます。・・・貧血 不眠 健忘
何先生の臨床(症例)
①出血 1、血腫 2、血小板減少 3、血尿
②生理不順 1、生理不順 2、卵巣嚢腫
③筋肉熱感 1、足指の腫れ
④皮膚熱感 1、アトピー性皮膚炎 2、掌蹠膿庖症 3、ニキビ
(以上の症例はすべて併用の漢方薬があります。)
ストレスや脳の疲れ→心脾が弱る{心脾両虚=心血虚+脾気虚}
■心血虚・・・脳に気血の提供ができなくなり 物忘れ、人の話が理解できない、焦燥感、不安感、眠りが浅い、不眠などの症状を引き起こします。
■脾気虚・・・気血やエネルギーを全身に送る働きが弱まって消化不良や全身の疲労感を招きます。また、血液が血管から漏れで無いようにする統血作用も弱まって、皮下出血や不正出血月経がだらだら続くなどの症状が現れたりします。
心脾顆粒について一言
ストレス社会といわれる現代において脳は過剰労働していると思います。
また 睡眠時間が少ない事は脳を休ませてあげてない事になります。
現代人の疲れは脳の疲れであり 心脾の弱りにつながります。
眠りが浅く疲れがとれない。
あれこれ考えてしまって眠れない。
50代、60代で物忘れがきになる。
その時は心脾顆粒で『心を養い 脾を健やかに!! 』しましょう。
薬剤師会勉強会 「新薬創出だけでは充たせないアンメットメディカルニーズ」
■「新薬創出だけでは充たせないアンメットメディカルニーズ」
アンメットメディカルニーズとは近年使われるようになった言葉です。
■患者数が少なく開発が進んでいなかったり、開発が望まれているにもかかわらず有効な治療法の開発が進んでいない治療分野の医療の医療ニーズ(必要性)
■患者さんの側にたつ ケアをともなった医療について また取り組みについて
■テバ製薬のジェネリック医薬品について・・・テバ製薬 上條文仁さんにうかがいました。
古典『黄帝内経』 中医学講師 高橋楊子先生(証の診方・治し方)など著書多数
■四季調神大論
■夏三月、此謂蕃秋。
陽気がもっとも盛んな時。気持ちを愉快にして怒らず、体内の陽気を外に発散させる。
夏は心の季で夏に適用して養生しないと心気が傷つくと書かれている。
*「心は血脈を主る」といい心臓の駆血作用の事・・つまり現代医学でいう心臓の働きをいうとともに「神を主る」ともいい脳の思惟活動の部分もいいます。つまり『こころ』の活動の部分です。
■秋三月、此謂容平。
陽気が少なくなってきて 生命活動は終息、休息の時期に入っていきます。
葉は色づいて枯れ落ち、草も枯れる気候を秋刑といい、この影響を緩める為に 心を安らかに保ち静かにして、神気を収斂し肺気を清浄に保つ。
*秋は肺の季です。肺は皮毛を主るといいます。よく春先は汗ばむくらいに着るのが良く秋口は薄着でといわれます。 これは冷たい空気にあてる事によって 皮毛(毛穴)が収縮して体温を逃さないようにする力をつけておくと風邪をひきにくくなったりする事と関係しています。陽気は減ってきますが、収穫の時です。心を安らかに自然の恵みを楽しむのが良いと思います。
■冬三月、此謂閉蔵。
冬は陽気が奥にあって、蓄え守る季節です。
この季節だけは遅く起きても良いと書かれています。
陽気を守る為に汗のかき過ぎもいけないとされています。
■『高齢不妊における店頭での症例』他 渡辺桂子先生
■40歳を過ぎた不妊に対し 補腎・養血を中心に弁証論治
薬剤師会の勉強会 酸分泌関連疾患 埼玉医科大学総合医療センター 消化器・肝臓内科 屋嘉比康治教授
■GERD(逆流性食道炎、胃・十二指腸潰瘍、機能性ディスペシア)
原因・・・不適切な食習慣(暴飲暴食、高脂食、胃の蠕動異常(排出遅延)、薬剤性LES圧低下による腹圧上昇)
増えた理由・・・高齢化・食の欧米化・ピロリ菌の減少・検査の進歩
■BMIとGERDの関係
■ピロリ菌の除去との関係
■予防又は改善の為
・脂っぽい食事を避ける
・左を下にして寝る。
・早食い・大食しない
・食後横にならない
・アルコール・タバコをひかえる
・肥満解消
■NSAIDによる潰瘍も多い・・・治りにくい
(アスピリンの胃粘膜の直接刺激)胃のPHを上げる。タケキャブその他薬剤についてなど
*胃食道逆流症は生活習慣、特に食生活の習慣がかかわっている事がわかりました。LES圧低下(胃の入り口に近い食道部の括約筋の働きと関係しているそうですが、薬剤性の時も年齢や性別のかかわりある時もあるようです。中医学では気虚、特に脾胃気虚に関係すると思います。呑酸は酸っぱい液が上がってくる事ですが、中医学では基本的に以下のように分類します。
①肝気犯胃(ストレスと関係)
②食滞(暴飲暴食と関係)
③寒湿内阻(冷えや生ものや冷たいものの摂りすぎと関係)
中医学は全体観が特徴です。
中医学の勉強会 学術シンポジウム 『神と心 ~中医思推学と善忘について』 鄭洪新教授
■著書 中医基礎理論に関する研究・腎臓精臓象理論の研究
心に神(認知機能がある) 脳の働きは、心・脾・腎・肝の4臓が関係が深い。このことは紀元前からある黄帝内経に書かれています。
心は2つの機能を持つ
1、心臓の駆血
2、脳の思惟機能
髄海に余りがあれば活発に活動できる。髄海が不足すると 耳鳴り、めまい、足腰の弱り、健忘などの症状がでる。人の精神活動は七情(喜怒憂思悲恐驚)といわれ 心が総括している。脾は意思を主るといい、また心と相生の関係である事から脳の機能面の関係がある。
健忘に対する中医学で病因を考えると
①老化
②情志の失調
③体力の弱り(腸胃実而心肺虚)
①久病瘀血
②痰濁上擾
健忘(物忘れ)に対して認知機能の衰え(虚)であるから心と脾を中心に考える。
健脾養心を中心に
瘀血が伴えば+ 活血化瘀
痰が伴えば + 化痰
気滞を伴えば+ 疎肝理気
など弁証論治によって漢方薬を運用する。
養生として
飲食の摂生(肥甘厚味)脂っぽい・甘い物・味の濃い物…痰が作られるためひかえる。
適度に身体を動かす。
生活リズムを整える。
早寝早起き。
酒・タバコをひかえる。
脳トレを行う。
漢方を使いながらも総合的に調節する。
■脳は身体とつながっている事は誰でも理解できます。中医学において五臓六腑はすべて血脈、経絡でつながり、臓と臓、臓と腑の関係も紀元前から解かって、病気に対して、また未病にたいして使われてきました。中医学のこの理論は私たちが健康を守る為に とても役立つものだと思っています。
不妊症とアトピーの関係 植松光子先生
店頭においてアトピーの方の7割が月経異常
血熱による月経異常(体質・食習慣)
血虚・血瘀と乾燥肌
肝鬱血虚、月経前症候群と肌の悪化
妊娠によるアトピーの悪化
産後は乾燥と冷えに注意
アトピーも月経異常も肝腎脾が重要
食生活の重要性
■肌は内臓の鏡といわれます。肌が赤く炎症状態なら 内に熱があるとみます。その熱は実熱の時も虚熱の時もあります。熱とは『体温計ではかる熱』の事だけでなく、炎症も火がある(熱がある)という事ですし、イライラして怒りっぽくなっている時のような興奮状態(亢進状態)も熱と考えます。
■アトピー性の方は慢性的に炎症を持ちやすい状況が持続していますから本質に虚があって熱を生じています。ですから 表面的な炎症を抑えるだけでなく 内側の弱い所に目を向けなくてはいけません。
薬剤師会の勉強会 尋常性痤瘡の新たな治療戦略 マルホ株式会社 ファーマシー事業部 石谷 洋様
■尋常性痤瘡いわゆるニキビ
思春期ニキビ
中学・高校の頃 Tゾーン中心
長期の男性ホルモンの分泌亢進による
大人ニキビ
大人 顎の辺り Uゾーン中心
ストレス・寝不足・不規則な生活・食生活の乱れや偏り
発症
普段 常在菌として皮膚表面を弱酸性に保っているアクネ菌ですが、皮脂分泌過多によって毛穴が塞がれたり、角質によって毛穴が塞がれると嫌気性菌で空気が無いところが好きなので増殖して炎症をおこします。ニキビの治療は増殖したアクネ菌を減らすばかりでなく、塞がった毛穴を開放して皮脂が排泄しやすくするようにします。
西洋医学によるアプローチは抗菌薬の組み合わせを中心ぺリオゲルを使います。
■中医学でもある意味抗菌といえる清熱解毒の方法を中心に治療しますが、女性は月経前に悪化があったり、血の道との関係も考えます。また脂肪や皮脂分泌血が盛んなのは痰湿・痰熱・瘀血などが考えられますので、その点も改善が必要です。