曇や雨でゆううつになりやすい季節ですが、紫陽花の花がきれいな季節でもあります。雨が降らなければ 朝 中央公園を歩きます。テニスコートの側から入った上がり口に斑入りの紫陽花があります。それがとても美しく、見るのが楽しみです。薬草の本によると 紫陽花は解熱につかわれるそうです。
「あじさいはきれいだけど・・・身体が重だるい 眠くて横になりたい 食欲もない 鬱かな?」
「それは湿気のせいだと思うよ。」
「重だるさは湿のせいだよ。脾臓の働きをおさえちゃうんだよ。」
「脾臓?」
「中医学では「脾は湿をきらう」っていうんだよ。
「もしかしたら冷たい食べ物や飲み物が多くなかった?」
「蒸し暑いので、さっぱりしたのがよくて冷やしうどんやおさしみやビールや・・・そういえば冷たいものが多かったかな・・・?」
「じゃあ食生活をあらためてみて」
「勝湿顆粒を使ってみて。湿をとって脾の働きをスムーズにすることにより、気を巡らして胃腸を整えてくれるよ。」
元気回復!!
湿の溜まってネバってきたものが痰です。この湿気が多く、蒸し暑い頃にゆううつ感が出るときは痰が関係している事も多いようです。胃や腸の調子が悪かったり ねつきが悪い 眠りが浅い イライラ ゆううつなど痰が正常な気の流れる道を塞いでる為におきます。喉の所にいつも痰がひっかかっている感じがしたりもします。めまいがする時もあります。漢方では化痰という方法で痰を処理します。
私はこの時季によく温胆湯を使います。
家族が
気持ちが悪い・・・といえば使い
めまいが・・・といえば使い
ストレスが・・・といえば使い・・・という感じです。
もちろん お客さまにも この季節はお奨めする事が多いです。
何故?というと 痰熱に使う方剤だからです。また ストレス社会であることや、日本人の生真面目な性格などが精神的要素が胃の調子の悪さにかかわっている事が多いとかんじています。季節的にも湿熱(寒湿の面もありますが・・・)です。
中医臨床(2002年3月発行)は温胆湯の特集で 方剤の分析や臨床応用が詳しく出ています。湿気は陰邪といいます。陰邪は陰の性質を持っているので冷える。・・・わけですが・・・
湿度が上がると体感温度は上がります。気温はそれほど高くなくても暑苦しく寝苦しい感じがします。食べ物も熱い物は食べたくない・・・という人も多いようです。冷たいものは摂らないまでも、温かい物もたべない・寝るときは半そでのパジャマ・・・その隙に寒湿の邪気は入りこみます。是非、温かい飲食・身体を冷やさないという事をしてみましょう。特に 胃腸にきている人・関節のこわばりや痛みを感じている人・頭痛がつづいている人・生理痛がある人は心がけてください。
2009年6月ブログ暮らしの中の中医学より
春は五臓の肝の季節です。陽射しも春めいて明るく、木の芽もふくらみ、梅がさいて、さくらのつぼみもふくらんできています。なんだか厚い服を脱いで心も身体も軽くなり、ウキウキして、自然の中で思いっきり身体を動かして遊びたくなります。・・・というのは自然の変化を自然にうけとめた姿です。
自然界の陽気が育つように、体内の陽気も増えてきます。陽気は生命エネルギーです。この陽気が出てくるのを自然に受けとめ、楽しみながら身体を動かして発散する(多少汗ばむくらい身体を動かす)のが春の過ごし方です。春は心も身体も縛り付けてはいけません。出てきた陽気が発散できずに体内でフラストレーションをおこします。そうすると『肝の疏泄機能』が失調して精神的にくるしくなったり、めまい・動悸・不安定血圧など自律神経と関わった症状がでたり、胃腸症状がでたりします。春はのんびり、のびのび!楽しんで(遊んで)汗をかこう!
昔から『木の芽時』といって、木が芽吹いてくる時期に心のバランスが崩れやすい事を知っている方も多いと思います。人においても陰陽はバランスよくなくてはならず、平衡の崩れは心にも影響します。肝の疏泄機能は人の身体を動かし維持するエネルギーをコントロールする機能ですから、肝の陰陽バランスは心の働きに大きく影響します。
3月の中医臨床に江部洋一郎先生が春の花粉症は陰虚内熱陽亢化風(陰が不足した為虚熱による内熱状態で陽気が亢進して風がおきた状態)が多いと書いておられます。花粉症に限らず体調の崩れは身体の物質的な不足(陰の不足)により陽気の亢進が抑えられないために心が落ち着かずイライラしたり、鬱滞してしまったり、時に風が木の葉をゆらすようにめまい・動悸・ふるえ・ひきつりなどもおきます。肝血・肝陰を補うを基本として疏肝・理気・養心安神・清肝火などの方法で心と体調を整えます。
この春、心のバランスの崩れに漢方茶も利用しましょう。気温の変化するこの状況に、『シベリア人参茶』が身体をバックアップしてくれます。シベリア人参茶は環境ストレスがかかった時に飲むと良いお茶だからです。2001年3月の中医臨床に『益気健脾・補腎安神』の働きがあると書かれています。心のバランスの崩れのみならず、身体がついていけずフラストレーションをおこしやすい方にもいいお茶です。また、「どうも気鬱になって何もやる気がでない。」「気力がわかない」という方には香ロゼアのバラの花の香りが元気を出させてくれます。
2008年3月ブログ暮らしの中の中医学より
花粉症については以前にも書いていますが、今週は花粉症によく使われる方剤についてです。一番飲んでいる人が多いと思われるのが小青竜湯です。方剤学を見てみると辛温解表剤に分類されています。身体を温めて発汗させて風寒の邪を追い出す風邪薬と言う事です。その働きは?滌飲解表・温肺降逆とかかれています。飲とは体内の不必要な水の事で、これを取り除き、発汗によって邪気を追い出し、肺を温めて肺気(肺のエネルギー)が上逆して咳になってるのを降ろす・・・・という働きが有る事がわかります。これによって小青竜湯を使うのに重用なポイントが2つあるのがわかります。1つは風寒の邪の侵襲。(邪は表にある)
もう1つは水飲が有る事です。
中医学(漢方)の考え方は『花粉症は風邪(ふうじゃ)によっておきる』です。風を除く必要があるわけです。小青竜湯は発汗力の強い麻黄が使われていますし桂枝の配合で更に強化されています。水飲があるタイプは脾の運化が弱いため、湿がたまる傾向にある人も多いです。花粉症の時期は長くて、風邪との戦いも長期になります。だから扶正しながら解表し、去湿する物がいいと考えますので、風寒型で湿のある方には勝湿顆粒をすすめています。
では勝湿顆粒はどんな働きでしょう?勝湿顆粒はかっ香正気散加減です。これは解表化湿・理気和中の働きがあります。解表は発汗によって風邪を追い出す事で、化湿は湿を除く事です。理気は胃腸の気滞(エネルギーの流れが停滞している)の流れを改善し中(お腹のこと)を和やかにする。*脾は『生痰の源』 肺は『貯痰の器』 鼻は肺のグループです。*水液代謝は脾・肺・腎がかかわっています。『脾の運化を主る』働きはよい状態にしておく事は大切です。勝湿顆粒は健脾燥湿の働きのものや理気健脾の働きのものの配合によって脾の働きが改善されるようになっています。
越婢湯は風水挟熱(風邪と水に熱が加わった状態)の時に使います。顔も浮腫んで、熱感があって、咽が渇く時もあります。肺の水液代謝とかかわっている宣発という働きが阻害された状態です。風邪をおいだして肺気を宣発させ、内に停滞していた熱をさまします。さらに白朮をくわえると脾の働きを助けて水の代謝がよくなります。この白朮が加わった方剤を越婢加朮湯といいます。
葛根湯加川きゅう辛夷もよく使われる漢方薬です。風寒タイプの鼻閉(鼻づまり)にいい漢方薬です。でも、やはり長期に服用するというのはどうでしょう?名前の通り葛根湯は麻黄と桂枝の組み合わせで発汗の強い方剤です。これに宣肺通鼻(鼻の通りをよくする)の辛夷と去風止痛(風邪を追い出し頭痛など痛みをとる)川きゅうが加わったものです。よく葛根湯三日とかいいますが、服用が長期になる時はする気や陰を補いながら服用するほうがいいと思います。ところで辛夷は鼻の通りをよくしますが、蒼耳子もよく使われます。蒼耳子散は蒼耳子・辛夷・白し・薄荷の組み合わせです。
鼻淵丸も蒼耳子と辛夷がはいっています。鼻淵丸は風熱の邪による鼻づまりや黄色い鼻水・頭痛などの風邪症状や肺経に熱が鬱滞して鼻づまりや黄色い鼻水や頭重や臭いや味がわからないなどの症状に使います。
蒼耳子・・・去風散湿・通鼻竅
辛夷 ・・・散風通竅
菊花・・・疏散風熱・清熱解毒
金銀花・・・清熱解毒
茜草・・・涼血活血・止血
の組み合わせです。風邪を追い出して鼻の通りをよくして、鼻の熱を清し(さまし)、解毒(菌や熱毒)します。また茜草根によって、血が熱を持つことによって鼻汁に血が混じったりや鼻衄を血熱を冷まし、血の巡りをよくする事で改善します。
本治(根本治療)を考えるなら衛益顆粒(玉屏風散)は重用です。花粉症は風邪によってひきおこされる症状ですから風邪を防御できる身体作りを考えます。衛益顆粒は衛気を補う漢方薬です。衛気は外邪に対する番人です。身体の気のなかで一番スピードがあって体表を巡り、身体を温め、表を守って風邪の侵入を防ぎます。また、外界と通じる肺の入り口(鼻・咽・気管支の上部)に分布して防衛します。
漢方の考え方として、アレルギー性鼻炎の人皆は衛気が虚していると言っても過言ではありません。花粉症の季節の前から服用しましょう。またいよいよ花粉症の症状が出ている場合でも衛気を補っておく事は大切です。邪の集まる所、その気必ず虚すといわれています。衛益顆粒で衛気を益しましょう!
麻黄附子細辛湯も陽虚(冷え)タイプには使われます。花粉症(アレルギー性鼻炎)は風邪によるものですから風邪の漢方が使われるわけです。水のような鼻水が落ちてしまう感じで、手足も冷えやすく身体も温まらないしだるいという人に合います。こんな時でも鼻づまりを伴う事も多いですね。そんな時は通鼻の働きがある鼻淵丸を併用します。
漢方は症状や体質に合わせて足し算引き算するのが本来の使い方です。葛根湯加川きゅう・辛夷も葛根湯だけでは鼻づまりに効きがわるいので川きゅうと辛夷を加えたと言う事です。蘇子降気湯(平喘顆粒)も花粉症の時に服用する事もあります。鼻炎ばかりでなく咳にもなってしまうタイプの人にいいです。
これは上実下虚を主治となっています。実とは実しているということで、寒痰の邪気が肺にあって病的な状態になっていると言う事で、虚とは弱って働きも不足している事です。上は肺、下は腎です。肺は呼気を主る、腎は吸気を主るといい呼吸は肺腎の共同作業によって行われます。老化や病気が長引いて衰弱した時に呼吸が浅くなるのは、そういった事と関わりの深い腎の弱りに起因する事が理解できます。
漢方茶としては
風寒の時はシナモンティー・生姜湯
風熱の時はミントティー・板藍茶
桑の葉茶・菊花茶(香菊花)・・・目のかゆみや充血にも
気虚で疲労感が強い時は香西洋参・シベリア人参茶
などがおすすめです。
2008年2月ブログ暮らしの中の中医学より