秋は五行の金・五臓の肺の季です
また五色は白・五気は燥・五味では辛・五化では収が同列です
陽気の収まり
黄帝内経の四気調神大論に季節の持つ意味と養生が書かれています
秋の三か月を容平というそうです
それは夏に盛んだった陽気が収まって実を結び、あるいは紅葉して静かな終焉の時期を迎えているというような意味だそうです
紅葉は葉が葉緑素をしまうため色々な色になるそうですが、やはり収めるという事だと思います
つまり自然のリズムに合わせるという事は春から夏にかけて陽気が活発になる時期は心も身体も活発にし、秋から冬にかけては収めていく・・・つまり心を静かに穏やかに過ごすという事のようです
肺を大事に
『使肺気清』・・・肺気を清ならしむ
肺の機能を守っていくという事です
肺は嬌臟(弱い臟)といわれていますが、理由は外界に通じていて影響を受けやすいからです
新型コロナもエアロゾル感染で殆どが吸い込んで発生する事からも肺がいかに危険にさらされているかがわかります
鼻や咽は肺に通じるので肺のグループです
粘液中に免疫細胞がありますし粘膜が潤っていると異物を排泄する繊毛の働きも良いので外界の邪気に対し防衛力となります
夏は暑く汗も多い為、津液の消耗は秋に肺の潤い不足(肺陰虚)になる事も多いので注意が必要です
秋バテに麦味参顆粒をよく使うのは肺気陰両虚の状態だからです
肺と鼻
『肺は鼻に開竅する』といいます
また 鼻とのどは『呼吸の門戸』ともいうそうです
鼻は外邪の侵入口ですからここで防がなくてはなりません
くしゃみ・鼻水・鼻づまりなども防衛反応といえます
また『涕(てい)は肺の液』といいますが、鼻の粘膜を潤し防衛しています
その他『肺は皮毛に合す』といい寒さに対して毛穴を閉る・発汗による体温調節も肺との関係で考えます
肺の食養生
肺は五色では白・五味では辛が関係しています
白といえば大根・レンコン・白ネギ・長いも・牛乳・豆腐など色々思い浮かびます
また辛味ではネギや生姜、生の大根・にらなど思い浮かぶと思います
秋に美味しい梨は皮が桑杏湯という漢方薬にもつかわれています
空咳の人は梨を皮ごと2つ割りにし種をとった所に蜂蜜を入れ蒸して食べて下さい
*風邪の予防も大事です
防衛力を強化の衛益顆粒と清熱解毒の板藍茶を活用してください
昔から夏は暑いものです
ただ近年の暑さは異常で『危険な暑さ』といわれるくらいの時もあります
しかし昔と違ってエアコンが普及しているので何とか過ごせますがその分身体が暑さに順応できなくなっている面もあります
黄帝内経に夏の過ごし方は
―――夏の3ヵ月は万物が繁栄する季節だから暑さを厭わず愉快な気持ちを持って怒らず陽気を外に発散させる―――
という意味合いの事が書かれています
自然をみても植物や虫や生き物たちが活発で生命力が旺盛な事を感じます
私達の身体も陽気をうけて活発な状態なので陽気がこもらないよう汗をかいて発散する事も大切です
夏と心
夏は本来心も身体も活発になり海へ山へとこころが躍る季節です
夏は五行の火の季で五臓の心と関係しています
火とは熱い・動きのある事・興奮とかを表しています
心は火の臓で『血脈を主る』といい心臓の拍出力は心の陽気によるものです
だから夏は血の巡りが良くなりますが、心臓の弱い人は少し動いても動悸を感じたりします
また『心は神を蔵す』といい、神は思惟活動をさし「こころ」も心です
つまり脳の働きの一部も心に属します
心火が亢進すると興奮の為イライラ・落ち着かない・不安・不眠などの状態になります
その為 心陰心血が不足して眠りの質も悪くなり何度も目が覚める・夢見が多いなどの症状がでます
漢方薬は症状に応じて温胆湯・黄連湯・天王補心丹・酸棗仁湯・心脾顆粒などを使います
また養生食品のミンハオも陽気を潜めて落ち着かせるのに役立ちます
夏と汗
身体は汗をかいて身体が熱を持たないように体温調節しています
発熱した時汗をかいて解熱した経験があると思います
発汗を促す生姜は夏にも良い食べ物です
生の生姜は走きて守らずといい、発汗して体温をさげます
お腹の冷える人は干した生姜を使って下さい
干した生姜はよく走きよく守るといって発汗してもお腹は温めてくれます
但し『汗は心の液』ですからかき過ぎは要注意です
かき過ぎた時は麦味参顆粒を服用しておきましょう
夏の寒暖差
この所の夏は異常な暑さで冷房が必需品になっています
建物の中に入ったりでたり、暑い車のクーラーがきいてきたと思ったらまた降りてとか、家の中でもお部屋は涼しいけどトイレは暑くてとか殆どの人が寒暖差のある所を行ったり来たりしています
この温度差に合わせていかなくてはならないので身体は大変です
気血が不足しているタイプや気の巡りが悪いタイプの人よりつらい症状になります
相談して自分の症状にあった漢方薬や養生茶、養生食品をとってみて下さい
夏の胃腸
暑さで冷たくて水っぽいものしか口にしたくない・食欲がない・軟便になったり下痢っぽくなったり・・・暑気あたりではありませんか?お腹がポチャポチャいいませんか?
フラーリンA(胃苓湯)を飲んで見て下さい
胃腸の調子が悪いのを放っておくと夏バテしてしまいます
暑いからといって冷たい飲み物や食べ物ばかりとるのはお勧めできません
暑い中にいた時は身体を冷やす為に冷たいものも少しは良いかもしれませんが、ガブガブ飲んでも吸収されません
冷たい物が飲みたい時はゆっくり飲んで下さい
冷た過ぎないイオン飲料などを飲んだ後氷のブロックを口の中でゆっくり溶かすのもお勧めです
火照る時は外側から身体を冷やしてください
脇の下や首筋を冷やしたり手足を冷たい水に浸けたりすると良いです
これは私の経験ですが、猛暑の日に出かけて火照って水分を摂っても渇きがとれない状態になったのですが、プールに入ったらすぐに火照りと渇きが全くなくなった事があります
身体全体を冷やした事で口喝がとれたのだと思います
脾の運化作用は栄養や水分の消化・吸収・輸送です
夏は通常より沢山の水分を摂る事で運化機能も目いっぱい働いています
日頃から脾気虚の人はより大変!
なるべく温かく(熱くなく)消化の良い胃腸にやさしい物を食べるようにしてください
夏バテしない為に・・・
低気圧による不調
低気圧が近づくとこんな症状がある人がいます
頭が痛い めまいがする
膝が痛む 腰が痛む 筋肉が張って痛む
身体が重怠い 頭が働かない
低気圧は雨や風を伴ってやってきます
台風や爆弾低気圧になると暴風や豪雨になります
また前線上に低気圧が出来る事もあって 低気圧の通過前から長く天気が崩れる事もあります
風や湿った空気は中医学では体調を崩す原因の六淫といわれる中の風邪(ふうじゃ)と湿(しつ)邪(じゃ)です
風邪(ふうじゃ)の性質は上の方に症状がでやすい・あちこち移動し変化しやすい・揺らす(めまい・痙攣・ひきつり)など
湿邪の性質は重くしつこい・下の方にいきやすい・胃腸の働きを悪くしやすい・冷えやすいなど
因みに風邪(ふうじゃ)は陽邪・湿邪は陰邪といわれます
治療法は
風邪(ふうじゃ)に対しては解表・散風・袪風
湿邪に対しては袪湿・化湿・利湿などの方法があります
「いえいえ 私は気圧に弱いのです」と思う方もいるかもしれません
気圧は低いのは低気圧の中央です
気圧の低い所に空気が流れ込んで上昇気流を生じ雲ができます
低気圧不調の方は低気圧が来る前から不調を感じています
時には台風が沖縄の向こうにある場合でも不調を感じて台風の存在を当てる方もいらっしゃいます
つまり低気圧のもたらす環境に不調を感じるのだと思います
症状に対しては色々使える漢方薬はあります
藿香正気散(勝湿顆粒)は風邪(ふうじゃ)を散らし・化湿する方剤です
他に 川芎茶調散(頂調顆粒) 柴胡桂枝湯 半夏白朮天麻湯 気上散 五苓散 胃苓湯 独活寄生湯(独歩顆粒) 苓姜朮甘湯(腰冷散) 五積散(五積腰痛散) その他症状に対応して使います
低気圧がきても不調にならない体質作りも大切です
まず、どんなタイプの人が低気圧不調になり易いのでしょう?
1つ目は衛気不足タイプです(防御力の不足)
・気温や気候などの環境の変化に弱い(身体がついていけない)
・風邪をひきやすい
・アレルギー性鼻炎や喘息がある
そういう方は身体を守る力が不足しています
2つ目は脾気虚タイプです(気虚や気血両虚)
・食欲がない
・お腹の調子がわるい
・車酔いしやすい
・浮腫みやすい
・疲れやすい
そういう人は食事からのエネルギーの摂り込みや水液代謝が悪い状態です
この2つのタイプの人に多くみられると感じます
衛気虚には益気固表の方剤を脾気虚の人には健脾益気の方剤を使って体質改善していきましょう