足利学校
足利学校に行ってきました。高速道路から稲穂のようなものが黄色く実っている見て
妹「あれなにかしら?稲みたいだけど…」
父「あれは麦だと思うよ。六月は麦の秋と書いて“ばくしゅう”っていうんだよ」
なるほど、秋を思わせる景色が広がっていました。
妹「何麦かな?」
父「小麦だと思う」
今頃が小麦の収穫の時期なんですね。小麦は益気養心除煩(気を益し、心を養って煩わしさを除く)の働きがあります。黄帝内経という書物の中に「心病めば麦を食うべし」とあります。甘麦大棗湯という漢方薬につかわれています。
足利学校は日本最古の学校で、室町時代に学校の形になったようです。掘りに囲まれた中に萱葺きの建物が見えます。落着いた風情です。「入徳」「学校」「杏壇」3っつの門をくぐって中に入ります。杏壇(きょうだん)は孔子が弟子達を教えた所に、杏の木が植えられていたことに由来するそうです。先生が教壇に立つと言う時のキョウダンは本来、杏の字をつかうのかな?と思いました。
ところで杏もまた漢方薬につかわれます。杏仁(きょうにん)といって種子の部分で、咳止めの麻杏止咳錠や通便の麻子仁丸に入っています。
学校門を入った左手に方状・庫裏・書院といわれる建物があります。そこに『宥坐之器』と書かれたものがありました。小さな水盤の中央に不安定な器がつりさげてていて水が多くても少なくても傾きます。中庸をさすのだそうです。中庸が大切という考えは人の身体にとってもそうです。中医学の中は中庸の意味だという事を聞いた事があります。
冷え過ぎず・熱し過ぎず・乾き過ぎず・湿り過ぎず・陰にも陽にもかたよらず・虚でも実でもなく、身体はバランスが大切です。また、心においても五臓とのかかわりを前に書いたように感情は豊なことはいいことですがいき過ぎは五臓を傷つけます。たとえば喜ぶことは心を活発にしますが喜び過ぎはオーバーヒートしてかえって心をわるくします。
気の力
“みのもんたのさしのみ”という番組で関根勤さんが“ものまねの人物になりきっている時にできることが我に返ったとたんできなくなる”といっていました。そういうことって物真似に限らずある気がします。
跳び箱、得意でしたか?わたしは2年生くらいまではへいきで飛んでました。でも、ある時,気づいたんです。跳び箱って結構長さがあるんだ!手をついて飛んだその手は何時離すんだ?こわーい!!その時からなんどやっても跳び箱の上に馬乗り状態。もともと、きも(肝や胆)が小さい(弱い)タイプなんだと思います。
肝は脾と相克の関係にあります。働き過ぎにならないよう肝が脾を抑える関係です。ですから肝が実する(オーバーワークの状態)と脾は押さえ込まれ過ぎになって弱くなります。その逆に脾弱なら肝実になり易いにです。ですから、胃腸の働きの弱い子供は繊細なことが多いのです。あっ わたしが繊細だといってるわけでは・・・とにかく、あの時、思考の結果、危ないと言う結論に至って跳び箱がとべなくなったんです。
流行り
娘「しろいんげんを食べるとやせるっていってたよ。」
私「いつも言ってるでしょ。食べて痩せれるものはあやしい物以外ないのよ。」
娘「・・・」
その後、 嘔吐などの中毒症状がでているので食べないでください。と放送されました。
わたしが中医学を柱にと考えるのは、ながーい間かけて人に使ってきている事と人に対して使っていった時の反応をもとにしてつくらたしっかりした理論を基に中薬や方剤を選ぶことができるからです。こんな地味で難しく解かりにくい中医学の話に耳を傾けてくださってありがとうございます。
2006年6月ブログ暮らしの中の中医学より
血液サラサラにいい事していますか?
「くろずのんでます。」
「たまねぎ食べてます。」
「霊芝のんでます。」
「薬用人参のんでます。」
「冠元顆粒のんでます。」
「病院ででてます。」
みなさん、色々ですね。血液サラサラってを瘀血と比べて考えてみましょう。テレビで血液が流れている様子を見た事があると思います。血液は勢いよく流れていて、その流れにのって赤血球や白血球がどんどん送られていきます。細くなっているところは柔軟に変形し気持ちよく流れていきます。こんな流れが血液サラサラというのでしょう。
ある日のこと娘が
「ママ大変 血流計してきたらこんなになっちゃってた 」
「血液がすみずみまで流れているかどうかを示す数値がびっくりするほど高くなっているわね。」
「うん。それに、すごーくだるくてヘトヘトだよ。」
「麦味参顆粒と衛益顆粒飲んであとで血流計してみようね。」
30分後
「元気も少し出てきて、血流計の数値もよくなってた。」
この2つの漢方は瘀血に使う漢方薬ではありません。どうして改善したのでしょう?
麦味参顆粒と衛益顆粒をつかったのは「宗気」不足から血流が悪くなっていると思ったからです。気の働きはいろいろですが「元気・宗気・営気・衛気」の四つに分けられています。宗気は呼吸作用と心血の運行を推動する機能があります。これは、補気薬によって血液サラサラになった1例です。
瘀血の3大症状は「痛む・しこる・黒ずむ」です。こう言う症状がでてくるのにそれぞれの前段階(血滞)があります。そして前段階(血滞)になってしまったそれぞれの理由もあります。中医学ではその理由を気虚・血虚・陰虚・陽虚・痰湿・外感など分類していきます。瘀血には活血化瘀薬が必要ですが、この段階では活血化瘀薬は使わないで大丈夫な事も多いのですが、少量使う時もあります。
気虚で巡らすエネルギーが不足したり、気滞でエネルギーが滞ったり、水不足で流れが悪かったり・・・それぞれの理由から血滞がつづくと瘀血「痛む・しこる・黒ずむ」の状態になります。血液サラサラでない状態が1歩進行してしまったと言う事になります。この段階になると活血化瘀薬は必須でしょう。原因に対する方剤+活血化瘀の方剤で対処します。
活血化瘀の方剤はいろいろです。冠元顆粒・血府逐瘀丸・フッケツ錠・折衝瘀血散・その他 血の流れが悪くなっている原因があるからです。しかし 更に瘀血の状態が悪化するとどうなるでしょう?流れが滞る状態が続くことを想像してください。際にこびりついたり、塊になったり・・・中医学で乾血といわれます。他に古血とか死血とか凝血などというようです。
もう詰まって塞がってる状態また経絡が閉塞した状態です。そうなると活血化瘀薬だけでは不足です。破血薬といわれるものをつかいます。破血逐瘀(破血し瘀血を駆逐する)中薬に水蛭(すいてつ)・しゃ虫などがあります。水蛭はヒルです。テレビで吸血させてうっ血をとったりするのを見たことがありませんか?ヒルに吸われたところは血が止まり難いそうです。溶血成分は確かヒルディンとかいうのだと思います。水蛭は閉塞した血を破血逐瘀する為服用します。
このように血の流れが悪い状態には段階があります。テレビや健康雑誌などから
「1週間たまねぎ食べれた方Aさんは血液サラサラでした」とか
「くろ酢のんで、血液がサラサラになった」とかの知識を得て実行している方は多いです。
それもいいと思います。血液サラサラと食生活のかかわりは強いので食生活の改善は必須だからです。でも、自分の身体を知り、どの段階かを知ることから始めなければ瘀血の改善は難しいです。
血滞 瘀血 瘀血+乾血
皆それぞれ違う位置にいます。中医学で瘀血とかかわりが強い五臓の関係を考えてみます。「肝は血を蔵し、疏泄を主る」といい血の保持と循行の調節しています。「心は血脈を主る」といい血液は心臓からおくりだされています。「脾は統血を主る」といい脾気の固摂の働きが血液が脈管から漏れないようにしています。
また、心血の運行を推動する機能のある「宗気」は肺が吸収された清気と脾の運化によってえられた水穀の気が結びついてできたものです。また、血脈は肺に集まり「肺の宣発作用」によって全身に散布されます。こういった内臓の働きの弱りは血脈の循行に影響します。
暴飲暴食・偏食・ストレス・冷え(衣食住の不節制からも身体を冷やします)寝不足・過労など環境や生活リズムの乱れが五臓を傷害して瘀血につながることも少なくありません。大事なのは身体を大切にしようとする気持ちです。だから、養生が基本です。
しかし、状態の進み具合に応じた漢方薬を服用する事も大切です。その場合でも、養生はしなければ穴のあいた壷に水を注ぐようなものだと思います。注ぐのを止めればまた減ってくるし、穴が大きければ相当量注がないとへってくる。なんとかしのげればいいほうで減るのを遅らせる程度になってしまいます。
2006年6月暮らしの中の中医学より
今年は梅雨に入るのがはやかったですね。5月は五月晴れといえる日も少なく、なんだかズーッと梅雨だったような感じです。梅雨のイメージは雨・暗い・湿気が多い・蒸し暑い・かびやすい・腐り易い・食中毒とあまりよくありません。この湿気の多い季節は身体にも影響します。特に体の中に湿の多いタイプはより影響をうけます。
湿は粘膩で重濁の性質があります。つまり、粘ってしつこく、重く濁って汚く細菌やかびが繁殖し易い、ってことです。身体が重だるい・食欲がない・軟便や下痢っぽい・気持ち悪い・関節が痛い・頭が重い・痰がからむなどはこの時期におきやすい症状です。また、風邪や咳がいつまでも治りにくいのも湿が影響していることが多くみられます。
この季節になると思うのですが、それほど気温が高くなくても湿度が高いと蒸し暑さを感じる事があると思いませんか?身体は半水中にいる状態で湿気で冷やされています。なのに何だか冷たくさっぱり咽ごしのいいものが食べたくなりませんか?冷やし中華・つけそば・つけうどん・ビール・プリン・ゼリー・・・そうするとお腹も冷えて体調がわるくなります。
湿は陰邪です。体内に停滞し気機を阻滞する時は軽く発散させましょう。その為、温かいものを食べて軽く発汗する方が身体がさっぱりします。又この時期、紫蘇がのびてきていますが、紫蘇は軽く発散して停滞した気機を巡らす最適の食べ物ですので食事にとり入れていきましょう。漢方薬では勝湿顆粒・平胃散など身体が重だるいときなど服用してみましょう。
梅雨の気温が高めで湿度が多い状態は食中毒をおこす細菌やかびが繁殖しやすいので要注意です。手洗いや調理器具の除菌など基本的な事は守りましょう。私はこんな事に気をつけています。作ったものは悪くなり易い季節ですのでなるべく早めに食べ、時間があいたときは食べる前に加熱します。サラダなど火を使わずに料理したものはその場で食べます。通常の生活の中で私達は細菌と共存しています。常在している細菌に対して抵抗力を持っています。でも増え過ぎたら対抗しきれません。増やさぬ工夫が大事です。特に普段から胃腸の働きが弱い脾胃気虚の人は抵抗力がないので注意しましょう。
急性の下痢・腹痛などになった時は勝湿顆粒をすすめる事が多いです。理由は勝湿顆粒が外感(邪気が外から入ってくる)時に使うお腹の薬だからです。去邪+理気健脾の働きがありますが、痛みが強い、舌苔が黄色いなどの時は五行草茶を併用します。
更に下痢が酷い時は胃苓湯(フラーリンA)を併用します。また、脱水ぎみにならないようにイオン飲料を飲みこまめに水分補給しましょう。この時、冷たくしないで飲んでください。また、下痢とともに気も出ていってしまい疲れやすくなってる時は気も陰(血や精や津液)も補える麦味参顆粒が最適で、胃腸も元気になります。
また、神経痛や腰や関節の痛みがでたり、痛みが酷くなったりする方が多い時期でもあります。湿気や冷えの影響が大きいです。中医学では身体が虚になっている為、風寒湿熱の邪気が経絡に侵入する事によって気血の流れが阻害され痛みが出ると考えています。不通則痛(通じざれば、すなわち痛む)です。治療法は虚を補い、邪気を追い出し、気血の巡りを改善するというものです。
虚を補い、邪気を追い出す組み合わせになってる方剤に独活寄生湯(独歩丸)疎経活血湯があります。独歩丸は補気血+補肝腎の働きが、疎経活血湯は補気血の働きがあります。湿を中心に考える時に気虚によって水はけが悪くなって浮腫んだり、膝関節に水がたまったりするときは黄耆の利水消腫(水をさばいて腫れをとる)働きを利用します。方剤は防已黄耆湯です。
また、食用蟻の食品がでています。
中医学で蟻は補腎壮骨(腎を補い骨を丈夫にする)
養肝栄筋(肝を養い筋を栄養する)
去風湿・止痛(風湿の邪気を追い出し痛みを止める)
活血化鵞(血の巡りの改善)
の働きがあるものとして使われています。また強壮剤としてもつかわれます。世界には蟻を常食している人達がいますが、腰や関節が弱い方は毎日少しずつ食して丈夫になりましょう。
2006年6月ブログ 暮らしの中の中医学より