『にきびは青春のシンボル』といったりしますが、思春期のころから増え始める為ホルモンの分泌と皮脂分泌の関係が考えられます。皮脂の分泌異常にともなって雑菌が繁殖して赤く腫れている事も多いと思います。西洋医学では重傷者に抗生剤を投与して抗菌します。漢方でもやはり抗菌ということも考えます。
清熱解毒とは熱を冷まし身体に入った毒素(菌やウイルスも毒素のうちです)を出すことです。この清熱解毒の働きの中薬を体質的な問題を改善する漢方薬に加えていきます。
皮脂の分泌異常について中医学で考えてみると
脂→痰湿・痰濁
となります。これは食生活との関りもつよく『脾は生痰の源』といいます。つまり飲食の不摂生によって脾が弱ると痰ができてしまうという事をいっています。脾は清濁分離の働きがありますがこの機能がよわってしますと濁も身体に摂りいれることになります。また肥甘厚味といって油(脂)っこい物・甘いもの・濃い味付けの物は身体に痰(脂)をつくったり摂り入れたりします。ですからニキビ肌の改善には食事のバランスはかかせません。
青春のシンボルのにきびは思春期の時期に真っ盛り。ホルモンのバランスも関係しているし、脂っこいものでも、甘いものでもモリモリ食べることも関係しています。時々赤く腫れるのが2~3個できる程度なら20才くらいまでには気にならなくなると思います。野菜もモリモリ食べて身体にこもった熱をさますと伴に、腸をお掃除しましょう。また、洗顔も大切ですし、若くてピチピチの肌にファンデーションは必要ありません。新陳代謝のいい肌が毛穴が塞がれて苦しがっていると思います。
重傷のにきびは中医学の皮膚科で『肺胃湿熱蘊結、感受毒邪、而発病』と考えられます。つまり飲食の不摂生や肥甘厚味を過食する等の原因で、肺や胃に身体に不要なドロドロして熱化したものがたまってしまい、そこに感染をおこして発病するという意味です。治療方法は『清肺胃湿熱、涼血解毒』(①肺胃の湿熱をとって、②血分に入った熱もさまし③毒邪をやっつける)です。
この3つの事を行うのに1種類の方剤ではたりません。また、硬くしこりになった部分には軟堅散結といって柔らかくして散らす働きのものも加えます。女性の場合、生理との関りがあるときは血の道を整えることが大切です。生理前ににきびが増える方も多いと思いますがイライラしたり、乳房の脹って痛むなどの症状を伴う時は『肝の疏泄機能が失調』しています。普通、逍遥散で改善しますが、怒りっぽい、目の充血、のぼせる、舌の色も赤いなど化熱が見られる時は加味逍遙散を服用します。
加味逍遙散は逍遥散に肝の熱をさましのぼせを降ろす牡丹皮と山梔子が加えられているものです。医療用には加味逍遙散しかないせいか、こちらの方が有名のようです。しかし漢方薬は身体の傾きを調整するものなので化熱がないときは逍遥散にすべきです。にきびに対して、血の道を調整する漢方薬を服用する時も五行草などの清熱解毒薬を加えます。また症状に応じてお血や痰湿に対する方剤を加えます。
*我が家の子供達も時々はでにこしらえてる時があります。原因は食べ過ぎ・生活リズムの不摂生などがあるようですが、
「にきびが腫れてるから五行草茶飲まなくちゃ」
「食べ過ぎだから晶三仙も飲まなくちゃ」
などといってけっこう上手に漢方茶を使いこなしています。
2006年11月ブログ暮らしの中の中医学より
血は全身を巡って身体に栄養を供給して滋養し潤わせます。血によって
目が滋養されれば、よく見え
足が滋養されれば、しっかり歩け
手が滋養されれば、しっかり握れ
指が滋養されれば、しっかりつまめ
精神が滋養さえれば、心が丈夫で安定します
この事から、血虚(血の不足)というのは単に貧血をさすのでないことがわかります。
血の滋養が足りてないことを血虚といます。女性は気は余りやすく、血は不足し易いといわれます。また、女性は血から衰えるともいいます。血が不足すると肌の艶もなくカサカサしやすく、髪も細くパサパサしやすくなります。
血は飲食物からつくられます。これには『脾が運化昇清を主る』という事が関係しています。帰脾湯は『健脾養心、益気生血』の働きがありますが、この生血の働きとはまさに脾の血を作る働きのことです。帰脾湯は摂血【脾の統血作用(血が脈管内から漏れないようにする)】の働きもあるので、その面からも血の充実をはかれます。また『精血同源』といって精は血に 血は精に変化します。だから腎精が充実は血をつくる事ができます。
では血が不足するとどんな症状が出てくるのでしょう?
目は乾きやすく、視力も減退します。
関節の動きがわるくなり、四肢のしびれがでたりします。
皮膚が乾燥し易く、かゆくなったりもします。
眠りが浅くなったり、夢ばかりみていたり、不安・驚き易くドキドキするなど心が安定しない症状がでたりします。
血に関係する病態を考えると血虚 血瘀 血熱 血寒などが考えられます。このうち血熱は煩労・飲食の過度・発作的な怒りによる肝の損傷など火熱が血分を犯したものです。血熱になると出血傾向になります。火が脈絡を損傷するためです。火熱は炎上し心をかき乱し、気や津液を消耗し、風をおこし、動血して出血をおこし、局所に集まって血肉を腐食すると癰腫・瘡癰をおこします。
温病において邪熱が血分に入るいうことは、病気が奥に入って重病という事です。中医学漢方の血は西洋医学の血とは違う側面がいろいろある事がわかると思います。
2006年11月ブログ暮らしの中の中医学より
陰は物質面で血精津液が属し、陽は機能面で気が属します。ですから、陰虚とは物質面の不足と陰の静止や抑制的な性質が弱まっている事をいいます。陰虚の火照りが体質が陽性で暑がっているのかを区別しなくてはいけません。なぜって陰虚のほてりは物質の不足からきているからです。
黄連解毒湯は三焦の実熱を冷ます漢方薬ですが、この実熱と言う言葉は重要です。陽性体質で実熱のあるひともだけでなく、陰虚熱の人も飲むと効く感じがするかも知れません。でも陰虚の人は陰(血精津液)を補う滋陰剤をつかいながら熱をさまさなければ身体は消耗してしまします。陰陽互根、根は同じなので陰がすくなくなると陽も少なくなっています。だから上から水をかけて火力を弱めるような事はしてはいけないのです。
しっかり不足を補充しながら熱や過亢進の状態を抑えなくてはいけません。陰は物質的基盤ですから、陰は消耗しないようにしなければいけません。血の不足は陰の不足に発展します。血は陰血ともいわれ陰のうちです。
『当帰補血湯』という方剤があります。『大出血のあとに生じる顔面紅潮・体表部の熱感・つよい口渇で水分を欲するを治す』となっています。貧血 冷え性 などのイメージとちがって血の不足が酷くなると熱感が生じるのがわかります。この方剤は補気薬の黄耆と補血薬の当帰で、補気薬が大量に入れてあるのが特徴です。『有形の血は自生することあたわず、無形の気より生ず』という考えによるものです。
陰陽互根・・・陰陽の根は一緒です。身体の陰陽のバランスの大素締めは腎です。腎の陰陽は真陰・真陽とか元陰・元陽とかいわれます。腎が衰えると陰陽バランスがくずれてきます。西洋医学で代謝の亢進・低下にかかわっているものは?と考えると甲状腺です。また、平滑筋や血管や分泌物にかかわっているのが自律神経系です。また、ホルモン系のフィードバックシステムなど陰陽のバランスともいえる機能が身体を取り巻いています。
陰と陽はどういうことなのか少しはお分かりいただけましたか?
人体において陰を養うということは血や精や津液の不足を補い、不足による虚熱をとることで、陽を補うということは機能面の回復・エネルギーを増やす事と身体を温めることです。もし治療法がないといわれる病気になったとして、この陰陽の調節の努力をすることの意義をどう考えますか?私は何時だってあきらめないで努力したいって思っています。また、努力の方法を与えられている事に感謝してます。
2006年11月ブログ暮らしの中の中医学より