梅雨の頃は湿度が高いので、内湿のある人にとってはいやな季節です。湿は粘って、しつこく、重く、濁って汚くする邪気です。身体が重だるくなっり、関節がだるく痛んだり、下痢っぽくなったり、浮腫んだりと身体に影響します。食欲がなくなったり、頭がすっきりせず、なんとなく頭痛がつづいたり、めまいがしたりも湿のせいの時も多いです。また この時期の皮膚病、水虫なども湿が関係しています。汗が臭って、疲労し易い時も同じです。
この時期、湿の摂りすぎに注意しましょう。特にジュース・缶コーヒー・炭酸飲料など口当たりがいいものは身体が必要な以上に飲みがちです。また お酒類も同じです。チョコレートや生クリーム、バターを使った甘い食べ物は痰湿がたまりやすいので少なめにしましょう。下痢っぽくなりやすい人はお腹をひやすので、冷たいもの、なま物はひかえましょう。お腹の調子を崩した時は早めに湿に勝つという名前の勝湿顆粒を服用しましょう。
風湿の邪気が身体に入ったときに最適な漢方薬です。また食中毒が起こりやすい季節ですから五行草茶も飲んでおくと良いです。五行草茶は馬歯莧のお茶です。これはその昔 貧しい少女が赤痢になった時道端の草を食べて助かったという話がるくらいで細菌性やウイルス性腸炎の助けになると考えられている食べ物です。梅雨の時期 お茶は温かくして飲みましょう。冷たいお茶は胃腸の働きを停滞させ、胃腸に寒湿を停滞させます。ウーロン茶やプーアル茶、はと麦茶など利水の働きのあるお茶は身体をさっぱりさせるのでお薦めです。温かくして飲みましょう。
「ジトジトして気持ち悪いからエアコンをドライにしておいたの」
「植物も水やりしすぎると根腐れしたり、植木鉢の土がかびたりするよ。」
身体も同じですから湿気を除いて停滞を除くように工夫します。緑豆は春雨で知られていますが、緑色のあずき大の豆で、味も
あずきとよく似ています。あずきも浮腫みをとった利水の働きがありますが,『緑豆は10種類の水気(水によって起きる病態)を治療する』と書かれているそうです。緑豆でお汁粉をつくっておやつにしたり、お赤飯のようにご飯に炊き込んで食べるといいです。湿を上手にさばいてこの時期をのりきりましょう。
2008年6月ブログ暮らしの中の中医学より
なんとなく体調がわるい・・・という人がこの時期多いです。5月病かな?今年は特に寒暖の差がおおきく、北海道なんか真夏から真冬へと・・・いままでこんなことあったかしら・・・というほどです。ストレスは 精神的なものばかりではありません。
他に 環境的ストレス・肉体的ストレスもあります。よく身体が気候の変化についていけない・・・などといいますが、これは環境ストレスに適合できず身体に影響が出た状態といえます。
そんな時漢方ハーブのシベリア人参茶がお勧めです。心のストレスばかりでなく環境ストレスにも適合しやすくなるお茶です。一度お試しください。
**娘との会話
「わたし この頃へんだよ。」
「冷やしただけじゃないの?」
「ちがうよ。温かくしてるよ。」
「パンプス用の靴下しかはいて行かなかったでしょ。」・・・絶対冷やしてるよ。・・・
「いつからなの?」
「連休くらいからだよ。
よく頭痛するし、目が変でクラっとしたり、気持ち悪かったり、お腹へんだし、首も痛かったり、だるいし、鼻水で風邪っぽかったり・・・」
・・・・・・(などと言ってるわりに夕べは友人と外食して帰って来てたけど)・・・
「それって、気候のせいで身体がストレスになってるんだよ。」
「今日はこれを飲んで出かけてね。 星火温胆湯・キョロウ錠・ホノビエン」
翌朝・・・雨・・・
「調子はどう?」
「鼻以外はよくなったよ。」
「じゃあ、もう少しつづけてね。」
ストレスというと精神的なストレスを思い起こす事が多いので、
「ストレスは全然ないです」
「楽天的だからストレスはないです」
とか言われる方もいらっしゃいます。しかし環境的ストレスや肉体的ストレスは以外に多く、私達はその影響をうけています。中医学的には気の巡りに支障をきたすので色々な症状となって現れます。ストレスは気のスムーズな流れを停滞させます。そうすると、身体を営むエネルギーがうまく働かない所が出てきます。
大勢が道を歩く時、整列して歩いていけば目的地まで全員スムースにつきますが、速く行こうと走る人・道草する人・横に長い列を作って歩く人などいて皆がバラバラだと道の所々が混雑してしまって、なかなか到達できません。気の流れの停滞とはそんな状況です。ですからあちこちに症状がでます。弱い所にでやすく、移動し易く、変化しやすく、張る膨れるなど気体が溜まるような症状がでます。移動や変化は風の性質で、ストレスが肝との関わりが強く、肝の気は風だからです。
ストレスはエネルギーの変調ですから、身体の調子の悪さとなって現れます。エネルギーの停滞(気滞)症状には理気薬中心につかいます。理気薬が沢山つかわれているのが開気丸です。香蘇散や半夏厚朴湯、また夏風邪や胃腸型感冒の漢方薬で知られる勝湿顆粒も充分な理気薬がつかわれています。また落ち着かないなど、煩躁感は化熱と考え、清熱除煩・養心安神の中薬が加わったイスクラ温胆湯を服用します。
私 自身はイスクラ温胆湯があっている人が多いと考えています。何故なら、胃腸症状を伴う方が多いからです。また、肝の疏泄の働きも失調している時は逍遥丸・四逆散・柴胡桂枝乾姜湯その他、柴胡剤をかんがえます。早めに変調にきずいて服用すると2~3日で改善します。
また、繊細で傷つき易いタイプの人・イライラし易い人・几帳面な人・眠りが浅い人などはストレスに弱いので、日頃、血や肝陰を充分補う事、また疏肝・理気・瀉火の漢方を体質に合わせて加えるなどして飲んでおきましょう。
2008年5月ブログ暮らしの中の中医学より
熱があるようですね。
え?私熱ないです。
体温の事をいってるわけではありません。
病気をおこす原因に六淫(風・寒・暑・湿・燥・火=熱)があります。熱(火)はどんな性質をもっているでしょう?火はメラメラと上に向かって燃えていきます。乾燥は火の勢いを増し、火の勢いがつよいと水分をどんどん飛ばし乾燥します。物は燃えて真っ赤で、物質的にも変化していきます。物は焼けて消耗しなくなっていってしまいます。
また火は対流をおこすので、風になります。身体の中の火の原因はいろいろ考えられます。ウイルスや細菌の感染が火元の場合もあります。ストレスが原因の場合もあります。精神的ストレスは意識できると思いますが、積極的に自分の意志でつくりだす過労状態は意識できない事が多いと思います。人の身体の注意信号である疲労感は達成感によって隠蔽されやすいものだそうです。火はエネルギー的なもので燃えりには燃料がいります。火と燃料のバランスも大事です。人の身体は自然の世界に存在し、その法則があてはまります。火は燃えすぎれば消耗します。
また 火が強くなりすぎると、火が火を呼び燃え広がって燃料を焼き尽くします。とてもちょっとやそっとではおさまりません。ストレスで イライラ・カッカ・怒りっぽいなど火の有る状態です。ストレスにより気の停滞がおこっている状態(肝の疏泄作用)が失調していますが『肝気鬱結』といいます。
肝鬱は火に変化します。・・・肝鬱化火
これは体質にもよります。陽性の体質(身体が陽の方に傾いているタイプ)は化熱し易いといえます。また、同じストレスを受けても身体や心のダメージは人によって違います。ストレスがあっても上手にかわせる人もいますし、まともにガッチリ受けとめてしまう人もいます。肝鬱が化熱し火になると乾いてより消耗しやすくなります。身体の中の事が外に現れてくる事も多いです。
皮膚の紅潮・紅斑・出血斑など、赤は火の色です。火は身体の奥深く血分に及んでいそうです。原因は発熱・ストレス・過食・偏食(辛いもの・刺激のあるもの)・陰虚(潤いや身体の基盤の不足)・過労など色々考えられます。血熱なら不眠や落ち着かないなど心の症状も伴う事も多くみられます。身体の火が炎上するのは、どんどん燃えて歯止めがかからない恐さがあります。すべて焼き尽くせばもう火もなく物質もなくただ 冷え込むのみで生命の火もつきてしまいます。
火の勢いが強ければ、見合うだけの力で対抗すべきです。なまじっかな量では対抗できません。燃え盛る火に対してチョロチョロ水をかけていても、無駄に等しい時もあります。漢方の場合、そのときは思いきって清熱の漢方薬や漢方茶を総動員して消火にあたらなければなりません。また、消耗した分も補わなければ身体がもたないので、滋陰清熱も必要になる事も多いと思います。火を見た時は火力と消耗の度合いをしっかり考慮すべきです。
機関車は適度な火力で走ります。火力オーバーでは暴走します。身体のサイクルの“行きすぎ”や“早い”という感じは火が大きいとみます。例えば生理周期が短い・脈は早いなど余分なエネルギーが働いている状態も火です。免疫異常も火が多い進行性の病気も火が多いと思います。ただ退行的に進む場合は虚が多いと思っています。火も虚から生じた虚火な場合もあります。火は命のエネルギーですが、命の火の源も保持しつつがよいのです。
2008年5月ブログ暮らしの中の中医学より