日食見ましたか?昨日は曇でしたが、11時頃雲の切れ間から 三日月型の太陽を見る事ができました。テレビでは夜のようになった北京が映っていて、その後徐々に明るくなる様子が見れました。報道はお祭りのように大騒ぎで日食をとりあげ、人々はこの自然現象に感動しました。
でも、日食のおきる意味がわからない昔の人は驚異だったようです。人が未知に対して恐怖心を抱くのは普通の事だと思います。この気持ちは危険を回避する為の能力のようなものだからです。闇にたいする恐怖もまた危険信号のようなものです。中医学では喜怒憂思悲恐怖の七情は人にそなわった感情で五臓と深いつながりがあるとしています。現代人は日食にたいして喜び心に影響し昔の人は怖れて腎に影響したわけです。
現代はストレス社会といわれます。私たちは汚れた空気・騒音・強すぎる光など環境的ストレスの中にいます。また 通勤ラッシュや夜遅くまでの仕事や夜を徹しての仕事(24時間営業が増えると従事者も増えるわけです)不規則にならざるえない食事時間など肉体的ストレスもあります。その他にも自分の身体に肉体的ストレスをかけているのも多く見られます。例えば夜更かし、冷たいものの摂り過ぎ、暴飲暴食、ゲームや携帯、パソコンなどで目を酷使する・・・等など
精神的ストレスに関しては現代だけのものではありませんが、神経症などの本を見ると現代人の精神的脆弱性というように書かれています。つまり、ちょっとした出来事などでストレスをうけやすくなっているという事です。環境的ストレスも肉体的ストレスも精神的ストレスも身体を消耗します。環境や肉体のストレスが身体を消耗するという事は理解しやすいとおもいますが、精神的ストレスがというのは分かりにくい面もあると思います。
中医学では七情内傷といい、人は7つの感情を持っていて,五臓と密接に関係し、過度な感情は五臓を傷つけるとしています。
七情と五臓の結びつき・・・から考えると
五臓がしっかりしていれば・・・精神は安定して七情は過度になりにくいし、多少の事では五臓も傷つかないといえます。
環境的ストレスや肉体的ストレスが身体(五臓六腑も)を弱くした結果、精神的ストレスにもよわくなっていると考えられます。まず、ストレスの軽減は自分で出来る事もあるので、生活のリズムを整える、睡眠時間をしっかりとる、冷たい物の摂り過ぎをやめるなど、暴飲暴食しない等・・出来ることからやってみましょう。中医学で考えれると『養生して五臓六腑をしっかりさせて、七情の過度により五臓が傷つくのを防ぐ』です
2009年7月ブログ暮らしの中の中医学より
曇や雨でゆううつになりやすい季節ですが、紫陽花の花がきれいな季節でもあります。雨が降らなければ 朝 中央公園を歩きます。テニスコートの側から入った上がり口に斑入りの紫陽花があります。それがとても美しく、見るのが楽しみです。薬草の本によると 紫陽花は解熱につかわれるそうです。
「あじさいはきれいだけど・・・身体が重だるい 眠くて横になりたい 食欲もない 鬱かな?」
「それは湿気のせいだと思うよ。」
「重だるさは湿のせいだよ。脾臓の働きをおさえちゃうんだよ。」
「脾臓?」
「中医学では「脾は湿をきらう」っていうんだよ。
「もしかしたら冷たい食べ物や飲み物が多くなかった?」
「蒸し暑いので、さっぱりしたのがよくて冷やしうどんやおさしみやビールや・・・そういえば冷たいものが多かったかな・・・?」
「じゃあ食生活をあらためてみて」
「勝湿顆粒を使ってみて。湿をとって脾の働きをスムーズにすることにより、気を巡らして胃腸を整えてくれるよ。」
元気回復!!
湿の溜まってネバってきたものが痰です。この湿気が多く、蒸し暑い頃にゆううつ感が出るときは痰が関係している事も多いようです。胃や腸の調子が悪かったり ねつきが悪い 眠りが浅い イライラ ゆううつなど痰が正常な気の流れる道を塞いでる為におきます。喉の所にいつも痰がひっかかっている感じがしたりもします。めまいがする時もあります。漢方では化痰という方法で痰を処理します。
私はこの時季によく温胆湯を使います。
家族が
気持ちが悪い・・・といえば使い
めまいが・・・といえば使い
ストレスが・・・といえば使い・・・という感じです。
もちろん お客さまにも この季節はお奨めする事が多いです。
何故?というと 痰熱に使う方剤だからです。また ストレス社会であることや、日本人の生真面目な性格などが精神的要素が胃の調子の悪さにかかわっている事が多いとかんじています。季節的にも湿熱(寒湿の面もありますが・・・)です。
中医臨床(2002年3月発行)は温胆湯の特集で 方剤の分析や臨床応用が詳しく出ています。湿気は陰邪といいます。陰邪は陰の性質を持っているので冷える。・・・わけですが・・・
湿度が上がると体感温度は上がります。気温はそれほど高くなくても暑苦しく寝苦しい感じがします。食べ物も熱い物は食べたくない・・・という人も多いようです。冷たいものは摂らないまでも、温かい物もたべない・寝るときは半そでのパジャマ・・・その隙に寒湿の邪気は入りこみます。是非、温かい飲食・身体を冷やさないという事をしてみましょう。特に 胃腸にきている人・関節のこわばりや痛みを感じている人・頭痛がつづいている人・生理痛がある人は心がけてください。
2009年6月ブログ暮らしの中の中医学より
新型インフルエンザの感染が拡大してきています。現在のところ弱毒という事ですが、余談は許さない状況です。古来 人は感染症と戦ってきましたが、抗生物質ができた事で病原菌を撃退できるようになりました。結核も不治の病ではなくなりました。しかし、耐性菌の問題はでてきています。各種 抗体検査もできるようになり、例えばツベルクリン反応、BCGなど知らない人はいないと思います。つまり感染症に対して予防医学も発達してました。
天然痘の撲滅はジェンナーと世界中のワクチン接種に力を注いだ医学者の努力の賜物といえます。病原菌よりも小さなウイルスは電子顕微鏡ができてからの発見で、ウイルスに効く薬は私が病院の薬局にいた頃(30年前)はIDUくらいしかありませんでした。現在は帯状疱疹やヘルペスに対するものなど抗ウイルス薬がふえました。
テレビでよく取り上げられているのでタミフルやリレンザがインフルエンザウイルスに効く薬という事は知っている人も多いと思います。医学・薬学・化学の発達によって、安心な面が大きくなってきていると思います。
ではこういった化学の発達がない時代は感染症に対してどう考え、どうしていたのでしょう?
紀元前に書かれた黄帝内経は漢方の基本となる理論がつまった本ですが、外界の邪気にやられないようにする身体づくり(養生)について述べられています。衛気が身体を守る気であることや、正気が外邪と戦う力である事もすでに書かれています。ところで衛気や正気という言葉が風邪やアレルギー性鼻炎の話の時ちょくちょく登場しますが、気に種類があるなんて変だ!と思っている方もいらっしゃると思います。
気は気持ちの気であると伴にエネルギー的なもの動的なものは気です。ですから、盛んに侵襲した異物を攻撃する白血球の働きは気です。そういった免疫細胞の働きや寒いと鳥肌が立つ、あるいはブルっと震えるなどの動きは正気や衛気の働きといえると思います。
外邪から防衛する力は衛気
外邪を攻撃する力は正気
これはどちらも気ですから、気の充実が大切です。では血や津液は?どうでしょう?『血は気の母、気は血の帥』という言葉があります。気は血の充実から生み出されるわけです。血や津液は物質的な部分をさしますから粘膜の潤いや粘膜細胞が密でしっかりしていているという事は血・津液が充実している事です。また動的な部分は気ですから粘液の分泌やIgA抗体は気に属すると考えられます。漢方では粘膜は外邪の侵入を防ぐ砦ですから、衛気の多く集まる所と考えられています。
防衛力アップは衛気の充足
戦闘力アップは正気の充足
この後ろ盾は気血の充実ですから五臓が元気でなければなりません。
中医学では敵の性質を見ます。性質とは寒・湿・熱・燥などで身体の反応の状態から考えられているようです。例えば中医臨床2004年9月号にSARSと取り組んだ中医師の事がかかれていて 非常に高い発熱が続き、その他下利・極度の疲労感・舌質淡苔白膩・脈滑濡・・・この病態を湿熱とみています。その他 邪の入ってきた病気の位置(深さ)を見ます。
新型インフルエンザで騒然としましたが、結局国内に入ってくる事を水際で止める事はできませんでした。今後は従来のインフルエンザと同じ対応になってくるようです。現在は下火になっている状態ですが、もともと インフルエンザの流行は空気が乾燥し寒くなってくる頃ですから、秋からが心配です。
この時期しっかり身体づくりしておく事が大切だと思います。ウイルスは呼吸器から侵入するわけですから、肺を丈夫にしておきましょう。肺気・肺陰の充実を考えましょう。脾臓は肺と相生関係、つまり肺を生み関係ということですから、脾臓がしっかりすることは肺がしっかりする事といえます。そのためには夏暑いからといって冷たいものばかり飲んだり、食べたりしていると脾臓の働きが悪くなり、夏が終わる頃には胃腸の状態が悪く、夏ばて状態になります。そうすると肺の働きが弱くなるばかりでなく、気血を作る力が弱まって、正気も衛気も不足してしまいます。
2009年5月暮らしの中の中医学より