その他の病気

2016-09-12

「アルコールとかを解毒する」
「もの言わぬ臓器っていわれていて気がつかないうちに悪化してるんだって」
「脂っこいものばかり食べてると脂肪肝になっちゃうよ」
「脂肪肝は癌化するの?」

 肝臓に関する知識は色々ですが、解毒というのは誰でも考える事だと思います。

 肝臓の働きは解毒だけではありません。肝臓は物質の代謝と関わっていて 胃腸で消化吸収された栄養素を代謝・貯蔵します。

*ブドウ糖をグリコーゲンとして貯え必要に応じてブドウ糖にして血液中に送り出す。
*アミノ酸から大切な働きをする血漿タンパク質などをつくる。
*脂質代謝 脂肪酸の合成や分解・コレステロールやリン脂質の合成
*脂溶性ビタミンやビタミンB群・ミネラルの貯蔵
*コレステロールと赤血球から胆汁酸やビリルビンを作る
*ホルモンの代謝

 こういった働きが『生体の化学工場』と言われる所以です。

肝臓 中医学で『肝は血を蔵す』といいます。実際、1分間に肝臓に1,000ml~1,800mlの血が流れこんでいて、これは心臓が送り出す血液の25%くらいにあたるそうですから、中医学理論にあてはまると思います。生理学がない時代にこの理論をたてたのは、いかに観察力があったかと感心します。

 肝機能障害になると倦怠感・むかつき・下痢といった脾の働きが悪い症状がでますから、これに対してはやはり健脾します。またイライラ・怒りっぽいなど精神不安もおき易いことからも肝の疏泄の働きをよくする疏肝も必要です。

 十年以上前ですが、ウイルス性肝炎に小柴胡湯が効くという事で医療現場でウイルス性肝炎の人に使い、副作用がでて間質性肺炎で亡くる人まで出た事がありました。これは証をみずにむやみやたらに使った事が原因といわれています。中医学に精通している人達は“小柴胡湯は肝臓疾患を中心に年間100万人以上が内服していた。漢方薬全体の売り上げは年間約1,200億円で、小柴胡湯はその約3割を占めていた。”という事実に驚かずにいられませんでした。

 では、小柴胡湯は怖い漢方薬なのでしょうか?小柴胡湯は中医学では和解剤に属します。半表半裏証に使う方剤です。証を誤らず、また肝陰や肝血を補いながら使えば、ウイルス性肝炎にもっと良い結果が出たのではないかと思います。小柴胡湯は疏肝と健脾の働きの両方を兼ねた方剤です。しかし肝陰・肝血を補えないので、これだけで長期の使用はしません。逍遥散なら当帰と芍薬で養血柔肝できます。

 菅沼栄先生監修の弁証論治の本では、肝炎を病因病機から4つのタイプに分類しています。肝気鬱結・瘀血内停・肝陰不足・肝胆湿熱です。肝気鬱結には逍遥散は使いやすいといえますが、どの程度の疏肝剤が必要かは弁証する必要があります。

 黄疸に使われる茵蔯蒿はカワラヨモギの幼苗ですが退黄の働きがあります。そればかりでなく清熱除湿の働きや軽い疏肝作用もあるので黄疸がなくても使えます。菅沼先生は肝炎予防に煎じて飲むといいと書いています。食養生としては 浮腫む時は大豆・ヨクイニン・山芋・アズキ・はすを、脂肪肝の時は山楂子・とうもろこし・ヨクイニンを、出血傾向の時は黒豆を摂る様にすると良いと書いています。

 肝機能の数値が異常になったら早めに漢方薬をつかって、戻す努力をしておきませんか?

2016-07-09

腎臓は簡単に言うと尿を作る工場

腎臓 血液中の尿素・尿酸・クレアチニン・食塩・電解質・水などで尿を作って排泄します。

 腎臓の悪い人はタンパク質を制限しますが、それはタンパク質が分解してアミノ酸になり、体内で利用された後アンモニアなどになり、さらに尿素になって腎臓で処理され尿になります。

 つまり、腎臓が弱っている時にタンパク質を取りすぎると腎臓は無理に頑張らないといけない状態に追い込まれてしまうわけです。

 腎臓の中にあるネフロンは腎小体(毛細血管が集まった糸球体・それを包むボウマン嚢)と尿細管をあわせたもので、尿を作る最小単位のものといえます。それが一つの腎臓に100万個あるといわれています。

私達の1個の腎臓の中に尿を作る工場が100万個

 100万個の中の1つの糸球体の中をのぞいてみると、毛細血管が毛糸をくるくる指で巻いたような感じに中を巡っています。いかに細いか想像できると思います。

 糖尿病や高尿酸血症・高脂血症などの場合、血液はどろどろです。また水分不足も血がどろどろします。そんなに細い所を通過するのだから通過障害が起きるでしょう。

 その糸球体の中で血液のろ過が行われています。GRFは糸球体のろ過量ですが値が低い場合は100万個のうち使えなくなったものがある程度あるという事です。言い換えれば糸球体の中の毛細血管が細動脈硬化を起こし、機能しなくなったのがあるので、ろ過の量が減ったという事です。この状態を中医学では瘀血と考えます。

瘀血は重要ポイント!

 『血管力』の本を出されている横澤隆子先生は慢性腎不全のモデル動物を作った事で学会の脚光を浴びましたが、その後慢性腎臓病に良い生薬や漢方薬の研究をしてこられました。その中で丹参に抜きん出た効果がある事を確認されました。

中薬学には丹参の3つの効能が載っています。
①活血去瘀
②涼血消腫
③清心除煩
です。

 つまり丹参は瘀血に対応する生薬です。また中医学では完全に動きの止まった血を乾血とか死血とかいい、破血の働きのあるものを使います。水蛭・三稜・莪朮などがそれにあたります。

更に病因を追求

 しかし瘀血のみ考えるかというとそうではありません。瘀血は結果ですから、瘀血にいたった原因も考えなくては本当の意味の治療にはなりません。とはいえ瘀血はそのままにしておく事はできませんから、活血化瘀や破血などの方法は必要です。

 川の水の流れを考えてみてください。スムーズに流れる為には水量も必要ですし、勾配も必要です。水量は陰血の量ですから血虚や陰虚の人は不足しています。勾配は重力による力でから、気の推動力の不足です。これは宗気と関係が深く、宗気は脾の働きにより取り込まれる水穀の精微から作られる気と肺の力で大気から取り込まれる清気によって作られるので肺や脾の弱いと宗気が不足しやすいといえます。

 また、宗気を作る事が円滑に行われる為も、宗気が血管内でしっかり働ける為にも肝の疏泄作用も重要です。原因をしっかり把握してオールラウンドに治す方法を考えていく事が必要です。

GRFが低いなら活血化瘀+原因にそった漢方で慢性腎炎に移行するのを予防しましょう

GRF値

■60以上…蛋白尿など他に問題がなければ大丈夫ですが、高血圧・高脂血症・肥満など人は注意しておきましょう。
■60以下45以上…腎機能が軽度~中等度低下 CKD(慢性腎臓病)の疑いがあります。心筋梗塞や脳卒中など循環器系疾患にかかりやすいので受診するなど注意が必要です。
■45以下30以上…腎機能が中等度~高度に低下 CKDが強く疑われます。
■30以下15以上…腎機能が高度に低下 CKDです。腎不全なる危険性が高いです。
■15以下…透析療法が必要になってきます。

2016-06-24

不老長寿(アンチエイジング) 不老長寿はいつの時代も人の願いだと思います。黄帝内経の上古天真論に百歳になるまで生き、しかも行動や精神が衰えずにいるにはどうしたらいいのか、その養生が書かれています。

 中国の清の時代に皇帝への献上品の三宝といわれるものがありました。哈土蟆・紅景天・不老草です。時の皇帝も不老長寿をどんなにか望んでいた事が伺えます。その三つの宝の1つに紅景天があります。

『単味の補益剤の研究と応用』 広東省深圳中医院主任医師 邱静宇

 『単味の補益剤の研究と応用』 広東省深圳中医院主任医師 邱静宇・・・これは2001年の3月の中医臨床の特集記事ですが、紅景天の事が載っています。紅景天はベンケイソウ科の多年草で高山の岩肌に生育し、扶正固本・理気養血・健脳益智・滋補強身の効があるそうです。

 扶正固本とは正気(抵抗力のようもの)を扶助し身体の芯の守りを固めるというような意味合いで、本質の守りを固めるという事は腎精の充足とも関係しています。理気養血は気の巡りをよくし血を養うという事で肝血・肝気とも関係しています。しかも健脳益智、つまり脳を健やかにして智恵の力を益す効力もあるというのですから老化防止には随分優れた植物だと思います。

 記事によると主要成分の紅景天サポニン・8種類の必須アミノ酸を含む18種類のアミノ酸・15種の必須元素・ビタミンA,C,D,E,B1,B2,B6など、その他抗老化活性を示すスーパーオキサイドディスムターゼ含んでいて栄養学的にも価値が高く、抗老化・抗酸欠・抗侵襲刺激・抗腫瘍・抗ウイルス・抗疲労・活血化瘀・免疫能の調節作用が証明されているとなっています。

 紅景天はチベットの高山に生育するものでチベット医学で使われていたものですが、この植物は高山や北極地帯など過酷な自然環境で生育してる学名はRhdiola rosea L.,(ラジオラ・ロゼア)です。日本では「生き草」ロシアでは「黄金の根」と呼ばれています。この根の部分を切ると中心が赤っぽく、そのエキスは根なのにバラの花のお茶を飲んでるような味わいがあります。

 気分が落ち込みやる気が出ない時に、また、勉強のお伴に・会議の前やここぞという時に、なんだかこの頃頭が働かないと思っている時もバラの香りのお茶をのんでスッキリするのも良いのではないでしょうか?はちみつやオリゴ糖を加えて甘くしても美味しく頂けます。おいしく飲みながら滋補強身できるんですからお得だと思いませんか?

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