今週はわたしの感じていることを書こうと思います。えー?そうかなー?と思う事があったらコメント下さい。おおいに語りあいましょう。 何時も書いていることですが中医学的(漢方的)考え方が私の考えの柱になっています。歴史のなかで色々な見方が生まれ、淘汰され、実際に促した理論だけが現在まで残ってきたと考えているからです。
病気になるということは大きく2つにわけられます。外から入ってきた外邪によるものと身体の内側の変化によるものです。
外邪によるものは発生・変化が急速です。例えばノロウイルス。夕飯おいしく食べたのに急にお腹が刺し込んで下痢し、嘔吐し始めたという経験のある人もいると思います。もう一つの方の身体の中の変化というのゆっくり時間をかけておきてきます。時間をかけて自分でつくっているともいえます。幼い頃からの病気は弱さが原因です。特に先天である腎が弱い場合が多いようです。『宋の銭仲陽は小児の行遅・歯遅・脚軟・シン開・陰虚発熱の諸病を治し、みな腎虚に属し・・・』とあって六味丸を用いると『手に応じて効す』となっています。
内因性の病気が身体の中におきる変化によるものだといいましたが、ある一定のレベルに達すると病気という形で現れてくると思います。身体は平衡がとれていることが大切。やじろべえはユラユラしながら平衡を保っています。支点が中心からずれると平衡が保ちにくくなってきます。ここまで、ここまでと支点をずらしていくと完全に平衡をくずしてバランスがとれなくなる位置にきます。そうなったら落ちないようにするだけで大変です。身体の平衡も戻せない位置があると感じています。
陰陽は平衡をたもっています。時に陰が多くなったり陽が多くなったり、陰から陽 陽から陰に変化しながら、又互いを制約しながら・・・天と地・上と下・火と水・昼と夜・動と静・興奮と抑制 身体の中の機能亢進と機能抑制は陰陽の関係です。
こういった部分をになっているものは色々あります。甲状腺・自律神経・下垂体・ホルモン系など 機能は亢進しすぎも減退し過ぎも平衡の崩れです。時に亢進しても、もどる力が働くものです。亢進しすぎが続き、もどれなくなってしまっては身体の平衡は崩れ、病気が発生するでしょう。気がついたら戻す。これが未病を治すという事です。
機能減退は気虚、陽虚などエネルギー不足なので「だるい・疲れ易い・かぜひきやすい」など体調の悪さに気が付く事が多いと思います。機能亢進の方は時に疲れ知らずで睡眠時間もあまりいらず、いかにも体力があって元気そうだったりするので身体の不調に気が付かない事も多いと思います。しかし、ちょっと立ち止まって考えてください。「くたびれた。ゆっくり休みたい。」という身体の信号がにぶくなっています。
身体を酷使してはいけません。食事・睡眠など養生の基本は忘れてはいけません。免疫革命の著者の阿保先生が交感神経の過亢進タイプと難病の関係を書いていらっしゃいますが、中医学的にもあたっていると思います。未病を治しましょう。
2007年2月ブログ暮らしの中の中医学より
気候は地域により違いがありますが、その気候に応じた養生が大切です。日本には四季があります。中医学でいうと五季ということになります。
春 夏 長夏 秋 冬
当たり前のようですが、夏は暑く、冬は寒いものです。季節に応じた気候を主気といいます。季節らしくない気候を客気といい、体調を崩し易く注意が必要です。この冬は西高東低の気圧配置にならずに温かく雨も多く、爆弾低気圧なるものが2度も襲来しました。ですから風邪も単なる風熱型、風寒型に分類できず、湿邪が絡んで複雑で長引き易いのが特徴のようです。
湿邪が伴うとはどう言う事でしょう?風邪症状にどんな症状が加わるのでしょう?①陰邪②重濁③粘膩④下降という性質によって症状が現れます。
①湿は陰邪で気機を阻害し脾胃の陽気を阻害しやすい
陰邪で脾の陽気を損傷しやすい
・・・つまり脾のエネルギー不足によって水の運化機能(水液代謝や栄養の吸収など)が弱まります。
其の為出てくる症状は下痢っぽい・尿量がへる・浮腫み 等です。
②重濁・・・これは『重い』と『濁る・・・汚い』ということです。
重い・・・身体が重い・手足が重だるい・頭が重い・頭が締め付けられている感じ
濁る・・・下痢・尿が濁る・目やに・ジュクジュク型の湿疹・膿を持つような出来物など
③粘膩・・・ねっとり粘ってしつこいこと
停滞しやすく排泄や分泌がスムースにいかない。
病気が長引く傾向にある。
気機の阻滞が引き起こされると不安・落着かない・寝つきが悪いなどの神経症状がでることもあります。
④下降・・・これは下の方に症状がでやすいという事
下痢・浮腫み・帯下など
風寒型感冒(ゾクゾク寒気の風邪)+湿邪の時は
葛根湯(無汗)+勝湿顆粒
桂枝湯(有汗)+勝湿顆粒
など工夫が必要です。
中医内科学で風寒型の感冒に荊防排毒散を使うようになっていますが、風寒湿証に使える方剤です。
主薬の羌活と独活が一身上の風寒湿邪をのぞきます。
身体は気候の影響を受けています。「この冬の風邪はしつこい」とか「なかなか治らない」とか聞きますが粘膩でしつこい湿邪の影響の時も多いと思います。また脾胃が弱いタイプや飲食の不摂生や疲労で脾胃を傷めてるタイプもまた運化が弱っている為湿の影響が出易いといえます。私達は大自然の一員です。自然の中の身体です。自然の法則に従って身体を考え調整していきましょう。
風邪はふうじゃです。まず風邪を追い払うことを考えましょう。身体に侵入した敵は風寒?風熱?風湿?風燥?それとも複数の邪気が? 敵を知り戦い方を決めましょう。
2007年1月ブログ暮らしの中の中医学より
冬といえば 寒い・木枯らし・霜・雪 だから食べ物は鍋料理など温かいものが食べたくなります。冬は蔵の季節で、腎の季です。だから冬は温かくして、腎を補いなるべく消耗しないようにすごす事が自然にあった養生法です。この季節に養血・滋陰の物をしっかり摂っておきましょう。寒いと「凍える」「凍る」など固まってしまいます。血の巡りも悪くなり瘀血になりやすくなります。
寒さで瘀血になるのを寒凝血瘀といいます。顔色がくすんだり、手や足が紫っぽくなったり・・・ 特に血虚・気虚・陽虚の人はつらい季節です。温めて血行をよくしておきましょう。冬は閉蔵の季節で、人は陽を乱してはいけない。冬に適応し蔵を養うという道理に反すれば、腎を損傷し、春の生気に適応できない。内経という書物にそういう意味の事がかかれています。冬は貯える季節ですから、勉強したり、構想を練ったり、エネルギーを貯えたりして活動的な春に備える等にむいていると言う事です。
冬と関りの深い腎とはなんでしょう?
*腎は精を蔵し、成長・発育・生殖を主る
*腎は骨を主り、髄を生じ、髄海に通じる
*腎は納気を主る
*腎は水液を主る
*腎は上は耳に開竅し、下は二陰に開竅し,その華は髪にある
腎は精を貯蔵しています。腎精は腎陰ともいいます。腎陰が減れば腎陽も減ります。腎陽は生命エネルギーです。
体温を保つ力です。冷えてエネルギーが落ち込んでいる人に散寒剤を使って温める事は大切です。しかし、精(陰)を補う事も重要です。陰は陽を生む源です。(陰と陽は行き過ぎないように制約し合う関係でもありますが)物質が無ければエネルギーは生じません。腎精は薪で、腎陽は火です。薪がなくなれば火も終わりです。腎を補う補腎薬はいろいろありますがそれぞれ特徴があります。補腎薬は六味丸プラスという形の方剤が多いです。
よく知られている
八味丸は六味丸+附子と肉桂
肝腎不足につかわれる
杞菊地黄丸は六味丸+枸杞子と菊花
肺腎不足につかわれる
八仙丸は六味丸+麦門冬と五味子
陰虚火旺につかわれる
瀉火補腎丸は六味丸と知母と黄柏
などがあります。また益精血の働きが強いものに双料参茸丸・参茸補血丸があります。
最近 参馬補腎丸がでましたが、脾を元気にして精を補えるので補気補腎に対し力がある方剤だと思います。その他、下肢が冷えて腰や関節が痛んだりする時は補腎薬の入った独歩丸が使われます。心腎陰虚で動悸や不眠などの時は天王補心丹。ハーブティーではシベリア人参茶や香ロゼアなど補腎の働きがあります。冬は閉蔵の季節・腎の季節です。寒気から身をまもり、腎精を補い、源を同じくする肝血を養うと元気に春が迎えられます。
また、日本の冬は寒いばかりでなく乾燥も特徴です。燥邪は肺を犯しやすいので注意しましょう。風邪をひき易い人は肺衛が不足していますので衛益顆粒で衛気を強化しましょう。出かける前に飲む・帰ったら飲むの板藍茶も風邪予防に役立てましょう。肌の乾燥が酷い人は沙棘からしぼったオイルの紅沙棘がお薦めです。胡桃、黒豆、昆布などの腎を養う食べ物や白菜、大根、葱、百合根など肺を養える食べ物を積極的にとりましょう。
2006年12月ブログ暮らしの中の中医学より