皮膚疾患「皮膚を極めた者のみ報われる」中医学講師 楊達先生
中医学の皮膚疾患の専門家でおられる楊達先生も始めは中医内科に診療科にいらして黄帝内経の研究をし弁証論治の力を蓄えていらしたのですが、皮膚診療科に入ってみると弁証の仕方が大きく違っていたそうです。
先ず皮膚を見る事が大事(ある意味皮膚弁証とも言えるかもしれません。)という事がわかったそうです。
■皮膚弁証のポイント
1、発症の流れを知る
2、皮膚症状をよく見る
3、出来るだけ写真をとる
4、掻爬痕の比較
5、ステロイド剤の使用過程
6、皮膚温度
7、発症部位以外の肌の状態
■皮膚の炎症の進みは
初期の頃 赤くなる・熱を持つ・痒み・・・程度は変化
初期~中期 赤くなる・腫れる・熱を持つ・痛み・痒み・・・程度は変化
長期に及ぶ 乾燥・苔癬化・痒み以上を中医学で弁証
原因(体質・食生活の歪・怒りっぽいなど精神的ストレス・風邪などの病気がきっかけになる場合
↓ けが、やけど、虫さされなどがきっかけになる場合)
経絡阻滞、気血不和
↓
血熱・湿熱
↓
毒
↓
虚+瘀
炎症性皮膚疾患の繰り返しになる状況
炎症の状態は、紅斑→丘疹→水疱→膿疱→糜爛→痂皮→落屑→苔癬化→乾燥→治癒 という順番に必ずなるわけではありません。紅斑から膿疱までは悪化の状態です。紅斑から水疱になる場合も紅斑から膿疱になる場合もります。
また、水疱から糜爛または痂皮または落説と経路は色々です。さらに治癒まで行かず繰り返す事も多くみられます。
上記の図は湿疹三角形といわれます。
店頭でよく見られる証型は血熱・湿熱・熱毒の3つで全部がふくまれています。その場合 清営顆粒、瀉火利湿顆粒・五涼華の3つが必要になってきます。また、酷い場合は五行草と五涼華を合わせてシップするとよいようです。
皮膚疾患の急性期においては効果と用量が相関関係にあります。ご自身がいらした中医の皮膚診療科では中医内科ではないくらいの生薬の量を使っていたそうです。しかし、効果も速かったそうです。
アトピー性皮膚炎は2重性格を持つ疾患です
環境や食物などのアレルギー的要素と乾燥、発汗、掻爬などの非アレルギー的要素の両方です。アレルギー的要素はアレルゲンによってひきおこされるアレルギー炎症で難治化しやすいです。
非アレルギー的要素には皮膚のバリアが弱い(ドライスキン)という事があります。その為、感染を受けやすい・皮膚過敏性などの問題があります。スキンケアによる皮膚のバリアの構築が大切です。
皮膚治療は三段階!
■初期・・・漢方薬や漢方食品、漢方茶など充分つかって炎症をおさえていきます。
■中期・・・残った炎症を抑えながら体質にもアプローチします。
■最終目標・・・スキンケアしながら体質を改善をして再発を防止する。必ず良くなったり悪化したりの波はある。湿疹三角形は繰り返しますがその大きさが少しづつ小さくなるのも目標にする。
楊達先生のアトピー治療の例
全過程で保湿剤を使う
急性期 瀉火利湿顆粒3包+清営顆粒3包+晶三仙3袋 五行草の湿布
↓8週間
中期 清営顆粒3包+瀉火利湿顆粒3包+シベリア人参茶3袋
↓8週間
緩快期 当帰飲子+荊芥連翹湯+シベリア人参茶+紅沙棘
↓約12週間
急性期(悪化) 清営顆粒+瀉火利湿顆粒+涼解楽 五行草茶で湿布
↓6週間
緩快期
楊達先生が日本にいらした頃は使いたい漢方薬がなかったそうですが、今は清営顆粒・五涼華・五行草茶その他 皮膚疾患に必要な中薬が使われているものがそろってきているそうです。
*薬眞堂から一言
アトピー性皮膚炎の方は環境の影響を受けやすく、暑さ、湿気、汗、食べ物、ストレスなど悪化要因は沢山あります。
体内に慢性的な炎症状態があるのかと思ったりします。それは中医学的には虚熱という事になります。
虚熱は身体の不足からくるものなので、不足を補う事はとても大切です。だから、生活習慣の改善や食養生は重要です。
一緒に頑張りましょう。