ユリの花はお好きですか?花言葉は威厳・純潔・無垢だそうです。美しく貴賓のある姿ですが、香がきついと感じる方も多いようです。ユリは球根が食用になる事がしられています。ユリは百合とかきますが、球根が沢山の鱗片が重なっている所から百の鱗片が合わさるというのが名前の由来だそうです。また、おせち料理に百合根を入れるのは和合の意味とか・・・おせちでなくても和食料理のお店や旅館で出たりする高級食材です。
この百合根は実は漢方薬の素材でもあります。漢方では『ゆりね』ではなく『びゃくごう』といいます。・・・ちょっとかわいくないけど・・・百合固金湯という方剤に使われています。
百合固金湯は
生地黄・熟地黄・麦門冬・百合・白芍・当帰・貝母・生甘草・玄参・桔梗の組み合わせで、
中医学で肺腎陰虚、虚火上炎という状態に使う方剤です。
よくみるとブルーの字は潤肺糖漿に入っていて牡丹皮と薄荷が入ればほとんど潤肺糖漿になる感じです。ユリ(百合)を中薬学で見てみると心肺を清潤し、潤肺止咳・精心安神の効がある・・・となっています。清潤はさまして潤す事ですが、どういう意味でしょう?
心を清潤するとは?
心は血脈を主る・・・という心臓としての働きの他
心は神を蔵す・・・という心(こころ)も心でとらえています。
また清とは熱をさますという意味で使う事が多く、肺やこころの熱をさまして潤すと書いてあります。こころの熱がさめて、潤えば自然に気持ちが安定すると思います。ですから、昔の人は神経症などの精神不安の病気を百合病(びゃくごうびょう)と言ったそうです。肺を清潤するとは?・・・・つづく
肺を清潤するとは?
先ず漢方でいう肺という事について考えてみます。
私達の呼吸は肺で行われています。
これを『肺は呼吸を主る』『一身の気を主る』といいます。
又肺は『宣発・粛降を主る』といって呼吸による清気の取り込みや濁気の排泄、清気や栄養や津液を全身に輸送し、体表部に到達させ、発汗の調節を行うなど・・・全部肺の働きになります。風邪をひきにくいなどの外邪に対する免疫力は衛気と関係があります。風邪は急性上気道炎というように呼吸器を中心にした病気ですが、ぞくぞく寒気がしたり、汗が出ないため熱が下がらなかったり・・・上気道の症状の他、体表にも症状が表れます。そこが肺としてとらえる事のできる部分といえます。
このことから肺を清潤するという事は 鼻粘膜・咽口の粘膜・気管支・肺・皮膚を清潤するといえます。~炎の炎の字は炎症という意味で火が二つで熱を思わせます。炎に対しては清熱です。炎があれば燥を生じます。ですから清潤の食品である百合根とてもよい養生食です。