つづいて舌の話

パンダ⑦ 虚火とは「真陰の損失により生じた熱性の症状」と辞典に書いてあることをそのままのせると余計何のことやらわからなくなりそうですね。つまり身体の消耗が進んでしまった為に生じた熱性の症状で午後に熱っぽくなったり手の平や足の裏のほてり、口が乾く、寝汗をかくなどします。舌は赤い・痩せている・苔は無い又は少なく、裂紋(ひび割れのような感じ)がみられます。

 虚火は消耗によって起こっている火なので瀉熱の方法は使いません。滋陰といって陰(血・精・津液)を滋養することによって虚火は治まります。貧血がひどい時にほてり感がでたり,微熱が出てたりする事がことがありますが、貧血を改善すれば自然に出ている症状もおさまるのと同じです。

 暑さあたりしてヘトヘトになった時、身体がエネルギーと水不足(気津両傷)になっているので麦味参顆粒を飲みます。津液の津は血液中の水分のようなサラサラしたものを、液は関節にあるようなどろっととしたものをさします。汗や下痢で水不足をおこした時舌の表面は苔が少なくなって乾いています。

 病気が長引いたりして身体の消耗が深くなると津だけでなく、津液・精・血という陰分の不足になります。そうする舌がやせたり、裂紋といわれるひび割れが出てきます。土を想像してください。雨が降ると湿り気が出、降り過ぎると溢れ、晴天が数日続くと表面が乾いてきて、日照のときは割れ目がでてくる。

 人の舌の様子も自然と同じです。もし、病人の舌が鏡面舌といって潤いが無く、鏡のようにてかった感じだとこの人の「胃気」は衰退し,「胃陰」もかなり不足してるということになります。中医学では『有胃気則生、無胃気則死』といって重要視しています。胃気は胃腸を主とする消化機能をさし、下降します。近代医学のような点滴や胃に直接食べ物を送る方法のない時代だったから余計だと思います。

 舌と臓腑の関係は舌の先が(心・肺)辺が(肝・胆)中央が(脾胃)奥が(腎)とされています。舌の先と辺が赤ければストレスでいらいらし易くなっているかもしれません。胃が痛む時中央の苔をみて黄色くなっていれば胃熱で黄連解毒湯のような清熱剤を、真っ白ければ冷えて痛んでいるので安中散のような温性のものを服用します。

 舌の動きについて知っておくといい事があります。強硬(舌がスムーズに動かず発言できない)・歪斜(舌を出したとき左右一方に歪む)などは中風の前兆の事があるからです。この時は開竅・清心・豁痰・活血・通絡などの方剤を速やかに使わなくてはなりません。中医学では舌診を重要視しています。是非、舌も健康チェックしてください。