独活寄生湯の話
独歩顆粒という漢方薬があります
独りで歩くという名前ですが方剤名は独活寄生湯です
効能・効果は 疲れやすく下肢が冷えやすいものの次の諸症:腰痛、関節痛、下肢のしびれ・痛み です
『中医内科学』は中医学の教科書ですが、痺証の項目があります
痺証の『痺』は本来『痹』の字ですが、どちらもしびれるという意味があります
痛みやしびれは『通じない』事で滋養されない為におきます
漢方医学には気血が経絡を流れているという独特の考え方があります
ツボに鍼や灸をした経験のある方も沢山いらっしゃると思いますがツボは経絡上にあり臓腑につながっています
だから痛い場所から離れていても楽になってきます
風・寒・湿・熱の邪気が経絡に入り込み、気血の流れを阻滞させる事で痛みが出てくると考えられています
若くて丈夫な人は経絡の中に邪気は入り込めません
何故なら気血が充実して流れているからです
しかし疲労や老化により経絡中の気血が不足すると邪気が入ってしまい痺証となります
風邪(ふうじゃ)に先導されて寒邪と湿邪、或いは熱邪と湿邪のように幾つか合わさって入ります
だから痺証の漢方薬は袪風・散寒・除湿・清熱のように邪気を取り除く事をします
痛みや痺れが長引くと気血が不足したり肝腎が弱ってしまうので、漢方薬の応援があっても身体自体が取り除くように働けないのです
そこで気血を補い、肝腎を補いながら邪気を除くのが、独活寄生湯(独歩顆粒)です
主薬の独活はウドの根で風湿の邪気を除くと伴に経絡の流れを改善します
桑寄生・杜仲・牛膝は肝腎を補うと伴に強筋骨と言って筋骨も補います
また、熟地黄は肝腎を補うと伴に益精填髄となっています
お湯に溶かして飲むと舌が痺れるような辛味を感じていかにも効きそうです
これは細辛によるものです
細辛は方剤学に「陰経の風寒を発散し筋骨の風湿を捜剔して止痛する」と書いてあり何とも頼もしい感じがします