3月の講義は戦冬雲先生による『中国の最新情報から学ぶ中成薬の応用』でした。
逍遥顆粒・衛益顆粒・麦味参顆粒・阿膠の使われている婦宝当帰膠を中心に話をききました。
逍遥顆粒…春は肝の季節です。(五行学説)
『肝は血を主る・肝は疏泄を主る』ですから血や気血の流れのコントロールは肝と関係しています。
先生の飲んでいる中国の逍遥散の丸剤を見せて頂きましたが、お店に来る中国のお客様も逍遥散の丸剤を持っていて見せてもらった事があります。
中国では女性なら誰しも使った事があるポピュラーな漢方薬といえるのかもしれません。
逍遥散は肝の2つの機能を補うとともに相克関係にある脾をバックアップする組み合わせになっているからだと思います。
逍遥散の内容を紹介します。
柴胡…主薬…肝気の流れをよくする 助ける 薄荷(涼散)・煨生姜(辛散)
当帰・白芍…陰血を補充
白朮・茯苓・甘草…脾の運化機能をバックアップし気血の生成を補助する
(「肝は脾を克する」関係だから助けてあげないとね)
因みに加味逍遥散は逍遥散 プラス 牡丹皮・山梔子
だから逍遥散使うような症状が化熱してイライラ・怒りっぽい・顔面紅潮・口乾などか現れた時に!
五行と五臓の関係で考えると肝は木
春に木はのびのび枝をのばしたい。それは肝の同じ。だからゆったりのびのびの気持ちになれない時は逍遥散が助けになります。
私も好きな方剤で、女性のみならずストレスがかかりやすい男性にも使って頂いています。
逍遥散と同じように疏肝・補血・健脾の3つの働きがある方剤に抑肝散があります。
違いは肝木の主気である風を消せる事です。
肝血不足で肝の疏泄機能の失調により内風が吹くと身体がそよいだり、ゆれたりします。
痙攣・ひきつけ・ふらつき・ふるえなどはそのせいです。
衛益顆粒…春は寒暖差と花粉のせいで衛気は大活躍!
衛益顆粒はその名の通り衛気を益す漢方薬です。
衛気は身体の防衛隊です。鼻やのどの粘膜に集まって防衛したり、全身を巡って身体を温め毛穴を開閉して冷えから守り、急な温かさで汗とともに気血が出て行ってしまうのを防いでいます。
花粉症の人も寒暖差アレルギーの人も、衛気虚です。
もともと衛気虚なのか?なんらかの理由で衛気虚になったのか?
とにかく衛気をしっかりさせ防衛力をつけていきましょう。
その為の衛益顆粒です。
前年成都中医薬大学 耳鼻科研修の際 衛気不足の人の処方中には30gもの黄耆が入っていました。
黄耆は薬用人参と同じ補気薬ですが、人参のように飲んですぐに活力が出たと感じるものではありません。でも、服用していくと防衛力だったり・傷の修復力だったり、疲れやすさや浮腫みがとれたりと確実に身体に力がついていくと感じています。
婦宝当帰膠…春は肝・肝は血
婦宝当帰膠は当帰が6割近くしめる当帰のシロップですが、この中に阿膠も入っています。
阿膠はロバの皮から抽出したコラーゲンです。
古くから女性に愛され楊貴妃は阿膠を飲んでいたから肌のきめが細かく弾力があったとか、西太后も飲んでいたから70過ぎても少女のような肌で艶のある豊かな黒髪だったとかいわれています。
心配な事にその阿膠が近年高騰しているそうです。
女性は血が不足しやすく気は余りやすいというそうですが、婦宝当帰膠は女性の身体にはとても良い漢方薬です。
月経不順・冷え症・妊娠を希望する方・産前産後に服用して身体を整えましょう。