平成30年10月21日 中医学勉強会
『問診のすすめ~婦人病~』 中医学講師 邱紅梅先生
著書:問診のすすめ・わかる中医学入
5月に引き続き先生の著書『問診のすすめ』の現代医学を用いた問診の項より婦人病について講義していただきました。
不孕(不妊症の中医学用語で不育を含む)着床力
①内膜の厚さと質をどうみるか?
内膜は厚みと柔らかさがあるほうが着床しやすい。
経血量は内膜の厚さとも関係している。
女性の生理機能を血の道といいます。
血の濡養作用は月経・妊娠・出産などにおいて重要です。
卵子も濡養作用によって成長します。
しかし血は気の推動力によって働く事ができるので気血という言い方をします。
“血とは脈管内の赤い液体であり、主に水穀の精微から化生されてできる”
となっています。
ですから月経が少ない事は血の不足(血虚)とみます。
『肝は血を蔵す』『心は血脈を主る』肝血虚・心血虚が関係します。
また肝腎同源・精血同源といい、『腎は生殖を主る』ので関係します。
内膜が薄いのは 肝血虚・心血虚・腎精不足・腎陽虚・気血両虚などの可能性があります。
血虚・腎精不足は材料不足ととらえ、腎陽虚は転化するエネルギー不足と考えます。
また気血不足は脾の血をつくる力の不足により血の不足となります。
②内膜の硬さをどう考えるか?
中学的見方・・・瘀血が関係する
子宮筋腫・子宮内膜症・卵巣嚢腫・子宮腺筋症・卵管・子宮腔の癒着など
・月経痛が酷い・血塊
・排卵痛・性交痛・排便痛
・経血量は過多
瘀血は原因から色々なタイプがあるが気滞血瘀・寒凝血瘀が多いと感じています。
気滞血瘀はストレスと関係していますが、特にストレスは無いと言う人でも、几帳面だったりすると、そうでない状態が気になっていたり、また面倒見のいいひとやよく気が付く人なども気を使いすぎている場合の気滞血瘀もよくみられます。
寒凝血瘀も多く、薄着やよく冷たいものや生ものを摂るなどによる血瘀もよく見られます。せめて月経中は冷やさないようにして冷たい物は避けるようにしましょう。
③内膜の感受性
内膜の厚みは15mm以上あって、グレードの高い受精卵を胚移植しても着床しない場合は着床力の低い状態といわれるが、邱先生の経験則からいってほとんどが瘀血だそうです。
なるほどという感じです。どんなに気血が充実していても、腎精が充足していても運ぶルートが閉塞していては何にもなりません。
瘀血は万病のもとといいますが、全くだと感じます。